「ゴールデンルール考」の締め括りとして、「ゴールデンルール」という遊び方では「首ナイフ」がどのように処理されるか、そのことはゲームプレイにおいてどういう意味を持つか、について考えます。
11 ゴールデンルール考の記事リスト
- 2011年10月22日 : 論題「首ナイフ」の本質
- 2011年11月02日 : ゴールデンルールという遊び方
- 2011年11月06日 : ゴールデンルールのヒエラルキー
- 2011年11月12日 : ゴールデンルールのGM主導
- 2011年11月18日 : 参考 : プレイヤー主導という遊び方
- 2011年12月24日 : ゴールデンルールと成長点ルール
- 2011年12月27日 : CoC用FEAR型成長点ルール
- 2012年01月14日 : ゴールデンルール以外のヒエラルキー
- 2012年01月30日 : ゴールデンルールの向き不向き
- 2012年03月14日 : ゴールデンルールとは何か
- 2012年04月12日 : ゴールデンルール解説記事について
- 2012年05月11日 : 参考 : 最初に憶える大切なルール
- 2012年05月17日 : ゴールデンルールとSW2.0
- 2012年05月21日 : 成長点ルールとSW2.0
- 2012年06月08日 : 「ルールと律令」を解釈する
- 2012年07月04日 : ゴールデンルールと首ナイフ
拙論「論題「首ナイフ」の本質」と「ゴールデンルール解説記事について」とに、金色老子さんからトラックバックをいただきました。有難うございます。
先の論考の補足として、『ソードワールド2.0』(SW2.0)の経験点ルールについて紹介しておきます。特に、『アリアンロッドRPG2E』(AR2E)の成長点ルールは「ゴールデンルール」と密接に結びついていますが、SW2.0の経験点ルールはそうでない、ということを。
ここでは、『ソードワールド2.0』(SW2.0)の「最初に憶える大切なルール」と、FEAR社の「ゴールデンルール」との、二種類の「遊び方」を比較します。
あるものの特徴を見極めるためには、それと似て非なるものとを比較するのが有効な手段です。
FEARの「ゴールデンルール」と似て非なるものとして、『ソードワールド2.0』(SW2.0)の「最初に憶える大切なルール」(ルールブック1、p.17~18)があります。両者を比較するのは、どちらを理解するためにも有意義です。
気が向きましたので、FEAR型「ゴールデンルール」の解説記事である、『ゲーマーズ・フィールド』誌16th Season Vol.2所収、久保田悠羅/司馬炳介「エリンディル・ステーション」(p.66~67)について考察します。私が重要と思う部分のみ引用しますが、できれば上掲誌にて全文をご確認されたし。
『ゲーマーズ・フィールド』誌16th Season Vol.2所収、久保田悠羅/司馬炳介「エリンディル・ステーション」(p.66~67)で、FEAR社製RPGにおける「ゴールデンルール」の定義が示されました。
ゴールデンルールとは"金科玉条"―つまり、もっとも大切で守らなければならない重要な規則のことです。(上掲書p.66)
ここまで考察した通り、FEAR社が導入した「ゴールデンルール」とは、「極端なゲームマスター主導」と「ゲームデザイナー主導」とを指向しています。両者を不可分とすれば、全体のヒエラルキーは次のようになります。カッコ内は、若干の補足。
- ゲームデザイナー(の意図)
- ゴールデンルール(という遊び方)
- ゲームマスター(とそのシナリオ)
- ルールシステム(および世界設定)
- プレイヤー(とそのキャラクター)
今回は、本来の「クトゥルフ神話TRPG」(CoC)などのように、「ゴールデンルール」や「FEAR型成長点ルール」を用いていないゲームシステムの「遊び方」について述べます。そこでは、どのようなヒエラルキーが成立するのか、というと、厳密には「ヒエラルキー」にはならないのだけど。
今回はちょいと悪戯。私が最も愛好する「クトゥルフ神話TRPG」(Call of Cthulhu;以下CoC)に、無理矢理「FEAR型成長点ルール」を導入するとどうなるか、という思考実験をしてみます。『AR2E』における「成長点の配布」の2~4番目に相当する部分を入れ替えることになります。
もっとも、ご存知の通りCoCには、「成長点」に相当するルールはありません。「技能」は、点数ではなく確率で成長しますよ、さぁ困った。取りあえず、「成長点によるPCの成長」は考えず、「成長点の配布」だけ作ります。手順は次の通り。