08 「シーン制」とは何かの記事リスト

遊び方を選ぶメタ」の例として、「シーン制」について考えてみます。

「シーン制」という用語は、いまだ定義が明確になっていません。そこで私は独自に、「TORG型シーン制」と「FEAR型シーン制」との二つを定義し、それ以前の時空間処理法と比較して考察しています。

ここでは「プレイヤーの中のメタ」に基づいて、各「メタ」の持ち主が二つの「シーン制」のどちらかを選ぶ時、あるいはどちらをも選ばない時、どのような心理が働くか、について記します。

ここまでで「Scene」、即ち「場面」および「シーン」という概念を、その用法や効能から三種類に整理してみました。卓上RPGの「遊び方」として導入された順序通りに並べると、次の通りです。

  1. シナリオ運用結果としての「場面」
  2. シナリオ構成要素としての「シーン」 (TORG型シーン制)
  3. プレイヤー管理装置としての「シーン」 (FEAR型シーン制)

TORG以前にも「場面」(Scene)という概念はありましたが、それはシナリオの構成要素でもなければ、プレイヤーの管理装置でもありませんでした。そのような「場面」概念は、ファンタジーRPGでのシティアドベンチャーや、「トラベラー」「サイバーパンク2020」「クトゥルフ神話TRPG」「深淵」(第一版)など、数多のゲームシステムで現在も用いられています。

「シーン」について考えるための資料として、「シーン」とは似て非なる「場面」についてもまとめておきます。

TORG型シーン制」を基に、更にプレイヤーの意思決定(Decision-making)をゲームマスターが管理できるように「進化」させた手法は、「トーキョーNOVA The Revolution」(アスペクト1998)において初めて導入されました。

その後、「ブレイド・オブ・アルカナ」「アルシャード」「ダブルクロス」などのFEAR(ファー・イースト・アミューズメント・リサーチ)社製RPGにおいて、続々と同種の工夫が追加されていきました。ここでは、それらを総称して「FEAR型シーン制」と呼ぶこととします。

シナリオを「シーン」(Scene)の連続として構成する手法は、「TORG」(トーグ;West End Games社1990、日本語版は新紀元社1993)において初めて導入されました。このような「遊び方」を、ここでは「TORG型シーン制」と呼ぶこととします。

今回は、「シーン」に至るまでの五種類の時空間処理が、実際にどのようなゲームシステムで用いられているか、例を幾つか示します。

前回の論考で、「シーン」と「場面」とは似て非なるもの、と述べました。では、どのように違うのか、今回は私の考えを記します。

なお、「場面」と「シーン」とに分けて考えるのは難しいという方は、「場面(シーン)」という概念に次の二種類がある、とでもお考えください。

シーンを説く前の基礎知識」で述べた「単位」や「場面」に、「シーン」まで含めると、卓上RPGにおける時間と空間の処理には、次の五つの方法があります。

このカテゴリーでは「シーン」や「シーン制」について語ってまいります。

主に紙魚砂さんの「シーンのアクセス構造(1)」「同(2)」「同(3)」に触発されて、時間と空間との処理方法についてまとめます。これらを知っているか否かは、「シーン」の考察に影響するのではないか、と思いましたので。

卓上RPGにおいて、ゲーム内の時間と空間とを扱うために、二つの処理方法があります。そのひとつ「単位による処理」は、時間や距離などを計測しながらゲームプレイを進める方法。もうひとつ「場面による処理」は、より大雑把な「場面」として示す方法です。

  • 「単位による処理」
  • 「場面による処理」

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