プレイヤー用キャラクター(PC)が「ダンジョンに棲む敵に対して兵糧攻めや火攻め(煙攻め)を行う」という事例について、Twitter上で行われた考察と議論をTogetterにて拝読しました。
私の見解は、いつも通り。プレイヤー(PL)が発案したPCの行動を、ゲームマスター(GM)がどのように扱うか、その手順は「遊び方」(遊戯法)によって異なります。以下、大雑把に三つの遊び方を挙げ、各々における行動決定の手順、兵糧攻めや火攻めをどのように扱うか、を論じます。
- 2006年10月17日 : 遊戯法という概念
- 2006年10月18日 : 遊戯法を考えるメリット
- 2006年10月21日 : 「成功」で分かれる三世代
- 2006年10月22日 : 行為判定で分かれるシナリオ構造三種
- 2006年10月24日 : 何をすれば良いのか、何をしても良いのか
- 2006年10月31日 : ダンジョンで示すシナリオ構造三種の例
- 2006年11月05日 : ゲームシステムから考える「遊戯法」
- 2006年11月06日 : 「デザイナーの意図」を信じるな
- 2006年11月09日 : 「D100ロール」を解釈する
- 2006年11月15日 : 「探索者」の能力データを解釈する
- 2006年11月23日 : 「正気度」ルールを解釈する
- 2006年11月26日 : 1920年代アメリカの「格差」を解釈する
- 2006年12月03日 : 1920年代アメリカの「装備」を解釈する
- 2006年12月08日 : 1920年代アメリカの「禁酒法」を解釈する
- 2006年12月08日 : テーマ「クトゥルフ神話と闘う探索者」
- 2006年12月17日 : 「クトゥルフ神話と闘う探索者」のための「手法」
- 2010年08月29日 : 遊び方を選ぶメタ
- 2011年05月02日 : 失敗か事故か、成り行きか
- 2011年05月09日 : 想定外を想定すること
- 2011年05月18日 : 『北斗の拳』に見る三種類のドラマ
- 2011年06月01日 : 卓上RPGに見る三種類のドラマ
- 2011年07月13日 : 判定ルールとシナリオ作成
- 2014年06月17日 : 遊び方によって変わる、兵糧攻めや火攻めの扱い
プレイヤー用キャラクター(PC)が「ダンジョンに棲む敵に対して兵糧攻めや火攻め(煙攻め)を行う」という事例について、Twitter上で行われた考察と議論をTogetterにて拝読しました。
私の見解は、いつも通り。プレイヤー(PL)が発案したPCの行動を、ゲームマスター(GM)がどのように扱うか、その手順は「遊び方」(遊戯法)によって異なります。以下、大雑把に三つの遊び方を挙げ、各々における行動決定の手順、兵糧攻めや火攻めをどのように扱うか、を論じます。
先の論考「『クトゥルフ神話TRPG』非模範的相談室」の捕捉を兼ねて、また「遊び方」(遊戯法)の部分的実例として、判定ルールに合わせてシナリオを作ることについての考察をまとめます。
卓上RPGのルールシステムの内、キャラクターが試みた(一回の)行動が「上手くいったか否か」を決める手順を、ここでは「判定ルール」と呼びます。サイコロを用いるもの、カードを用いるものなど、判定ルールは多種多様ですが、その性格から次の三つに分類できます。
論考「『北斗の拳』に見る三種類のドラマ」で挙げた、「ワールドセッティングの上のドラマ」「キャラクターの間のドラマ」「シチュエーションの中のドラマ」の三者は、卓上RPGのゲームプレイにおいても語ることができます。もちろん卓上RPGは、小説やマンガ、映画などとは異質な構造を持ちますから、そこに生じる「ドラマ」もまた別物です。
「ドラマ」とは、演劇をはじめとして、劇的な展開を生み出すあらゆるものを指す語です。小説やマンガはもちろんのこと、スポーツや現実の事件などにも用いられます。卓上RPGのゲームプレイも、その結果が劇的であれば、「ドラマ」の一種となりえます。
この論考では、「ドラマ」を構成する三つの要素「ワールドセッティング」「キャラクター」「シチュエーション」について考察します。これら三者は常に共存するものですが、三者のどれが優勢となるかによって「ドラマ」の性格が変わります。
先の論考「失敗か事故か、成り行きか」で触れた、「想定外を想定する」ということについて、具体例を幾つか挙げます。難しいことではありませんし、誰もがしばしば行っていることですが。
何であれ行為をすれば、好ましい結果が得られることがあれば、好ましくない結果に至ることもあります。仕事や受験、交渉であれスポーツであれ、あるいは原子力発電所の運用、更には卓上RPGのゲームプレイにおいても。
このような結果の違いをどのように評価するか、には三通りの方法が考えられます。
卓上RPGには、多種多様な「遊び方」があります。同じゲームシステム、同じ世界設定を用いても、それらをどのように活用して遊ぶかは、人によって様々です。このため一緒に遊ぶ相手次第で「遊び方」が変わり、多様なゲームプレイを体験することができるのです。このような楽しさの幅広さは、卓上RPGの特長のひとつといえます。
しかしながらゲームプレイへの参加者によって、「遊び方」への関心は様々です。例えば、次のような三通りの態度に大別することができます。
たとえ「ルールシステム」や「世界設定」から導き出した「テーマ」であっても、「不適合」や「不足」が生じることはありえます。また「短所を補う」のみならず「長所を伸ばす」ためにも、様々な工夫が凝らされるべきです。それらの工夫を、ここでは「手法」と呼びます。
「手法」には、書籍や映画など参考資料の事前提示、要点を絞った配布資料の作成、参加者同士でのちょっとしたアドバイス、更にはルールシステムの追加デザインなどが考えられます。
長々と六つの題材について述べてまいりましたが、このような作業は実際にはルールブックを読み進めるのと並行して瞬間的、直感的に行われます。手間も時間も大してかからず、自然にできるが故に、かえって無意識に思い込みが強くなるのが落とし穴です。
各題材について一言ずつまとめると次のようになり、これらが「多様なる解釈の中から選び出した、私=鏡が好む、クトゥルフ神話TRPGが向いている遊び方」の要素となります。「私が好む」というところが大切ですよ。
「世界設定」について例示する題材の最後は、1920年代アメリカ特有の現象である「禁酒法」について考えてみます。まず恥を晒しますと、その字面などから私は「禁酒法」を次のような法律だろうと思っておりました(特徴A1~A5)。
A1、1920年に(何らかの事情で)制定された。
A2、飲酒や製造、販売など、酒に関するすべての行為を禁じた。
A3、もぐり酒場(Speak easy)がはびこり、実際には誰もが酒を飲んでいた。
A4、密造やもぐり酒場経営などを資金源としてギャングが強大化した。
A5、1933年に、おそらく皆に反対されて廃止された。