Everway, "The Journey to Stonedeep"プレイレポート (1999年執筆)
本論考は、1999年2月2日に発表されたものです。文中の趣旨が、現在の筆者の考察とは異なる場合もありますので、ご注意願います。
Everwayサンプルプレイのレポート。基本パッケージの付属シナリオ「The Journey to Stonedeep」プレイ。ネタばらしになるので、未完。
12月5日(土)
仕事の都合等あって、少々遅れてサークルに到着。今回も駄目かと半ば諦めていたが、Y.S.さんが遅れて集まっていた3名に声をかけたところ、プレイを快諾してくれた。お蔭で念願の初プレイとなった。
プレイ決定の時刻は午後3時。卓を準備し、慌てて設定や基本ルールを説明。その後、12人のサンプルキャラクターの中から自分の担当するキャラクターを選んでいただいた。Y.S.さんは先に作成したキャラクター("光変える"エルア)を使うかと思いきや、サンプルキャラクターから選んだ。結果、四名のキャラクターは次の通りとなった。以下、キャラクターの名前順に紹介。
- アンバー(Amber)
正義感の強い女性。虎に変身する能力を持つ虎人族の出身。同族と共に辺境に住んでいたが、虎の力で他の村を救ったため、秘密主義の仲間から追放された。(プレイヤーはF.I.さん)- デトリタス(Detritus)
世界の謎を探る学究の徒。携えた諸々の魔法の道具は、過去の探索行の結果である。すべての次元を巡るまで、彼の旅が終わることは無い。(プレイヤーはP.K.さん)- セレニティ(Serenity)
トロール(地の妖精)族の血をひく女性で、物体の形や色などを変化させる魔法使い。その力を恐れた村人と、病で亡くなった妹のせいで、終わりの無い旅に出た。(プレイヤーはY.K.さん)- シャドー(Shadow)
自由を勝ち取った元暗殺者。影に溶け込む能力、すべての武器を自在に操る能力を持つ。過去を捨てた彼には、世界の美と神秘に触れることが至上の喜びである。(プレイヤーはY.S.さん)シートには美しいイラストが描かれている。シャドーのそれはRubicon Games社のサイトで見ることができるので、興味のある方は
こちらへどうぞ。使用するシナリオは、基本パッケージの付属シナリオ「Journey to Stonedeep(ストーンディープへの旅)」。一息入れてからプレイ開始。時刻は午後4時であった。
※ご注意 : 以下のレポートは、上記シナリオのネタばらしを若干含むことになります。同シナリオをプレイヤーとして楽しみたい方は、この先を読まないことをお勧めいたします。
領主の依頼
四人のスフィアウォーカー(Spherewalker)は、とある次元世界(Sphere)の一地方(Realm)"スィートウォーター(Sweetwater)"へやって来た。西洋風の文化を持つこの地は、豊饒かつ平和な土地で、町には心地良い活気が溢れていた。
さて、次元の門(Gate)のある森から町へ入って間も無く、一行の前にこの地の領主の使いが現れた。彼らを歓待したいという言葉を信じ、一行は郊外にある館へ向かう。畑仕事に精を出す農民に手を振られつつ、古来の砦らしき館に着いてみると、出迎えた領主は若い女性であった。
居間でくつろぐ一行に、美しく毅然とした女領主は、自分の先祖もスフィアウォーカーであったこと、自分には門を通る能力が無いこと、そしてスフィアウォーカーに依頼があってその出現を待っていたことを告げた。
ここスィートウォーターには隣接した次元の地方"ストーンディープ(Stonedeep)"に繋がる門があり、かつて文化交流があったが、300年前悪竜が門の近辺に棲み着いてより途絶えていた。ところが一月程前その竜が突如として姿を消した。彼女は交流を再開させたいと考えたが、先方の事情が知れない。そこで、門を通る以外の能力にも優れたスフィアウォーカーたちに、門を抜けて、かの地の王にその旨を伝えてほしい、というのだ。(スフィアウォーカー以外にも門を通れる人間が稀にいるのであるが、詳細は割愛する。)
しばし考えた一行であったが、快諾。領主の親書を持ち、数日後門へ向かった。焼け荒れた荒野の只中に積まれた石組みを見つけた一行は、青空の下で円陣を組み、目を閉じ、意識を集中させた。やがて彼らは次元と次元の狭間に溶け込んでいった...。
次元の狭間での怪異
このイベントは、霊感を表すWaterの値が6以上の者(一人もいない場合は最高値の者)のみが体験する、とシナリオにある。プレイヤーに尋ねると、シャドー(Water7)のみが該当した。
次元と次元の間にある奇妙な空間。シャドーは、いつもと違う悪寒を感じた。「何かいる!」あり得ない直感が走る。目蓋を通し、何者かがすぐそばを通りすぎて行くのが見える!?
...と言って、マスターは付属のイラストカードを見せる。「こんなのが"見えた"」と。そこに描かれたは恐ろしげな異形の姿。驚き、喜ぶシャドーのプレイヤーY.S.さん。イラストがすごく格好良いのだ。他のプレイヤーにはまだ秘密。
異世界到着
目を開けたとき、周りは闇に包まれていた。石造りの廃墟の中を、戸外からの冷たい風が吹き抜ける。シャドーは、仲間に自分が"見た"ものについて説明した...のだが。
「すごく格好良いヤツがいたっ!」脱力するマスター。おそるべし、シャドー...いやY.S.さんか(笑)。問題の絵を見せられなくて実に残念。
取り合えず、外へ出た一行は、天空から照らす月明かりに、そこが古の神殿であったらしいことを知る。風の中に微かに混ざる水の匂い。確かこの地は大河沿いに南北へ広がっているはず...とその時。砂混じりの風に流され、女性の悲鳴が!
最初の闘い
廃墟の中、少女を追う二つの影。人のようだが、動きがどこか奇妙だ。その目は怪しく光っており...振り返ってはその光に怯える少女の恐怖も尋常ではない。一行は少女を助けることに決定。初戦闘である。高まる(マスターの)緊張!判定も細かく説明しよう!さぁ、どうする?
慣れないルールなので、まずは一人一人宣言していただいた。アンバーは虎(完全な獣の形態)に変身し、少女と追手の間へ踏み出す。シャドーは影に溶け込み、追手の背後へ。セレニティは変化魔法を使い、追手の足元の石を崩してバランスを崩させる。デトリタスは...魔法のルーン石の力で透明になる、とのこと。状況を考え、こちらの判断した順序で判定させていただこう。
まず、アンバーが追手を驚かせるか?から。プレイヤーはまだ知らないが、この世界はエジプト風の文化を持つ地で、虎などいない。見れば心底驚くはずだが...実はこの追手は普通の判断力を持っていない。この判断は重要と思えるし、マスターとしても意外性を楽しみたいので、ランダムに判定しよう。マスターがフォーチューンデッキを山札から一枚めくると、「隠者(Hermit)」の逆位置。意味は「協調性の欠如」。悪い意味なので、プレイヤー側に不利な結果となることはもう分かっているが...上手く暗示を絡められるかな?ちょっと悩んで...よし、"他者への働きかけが裏目に出る"と解釈しよう。この追手の正体を考慮して...。
(アンバーに向かって)追手は少し歩を止めるが、まるで感情が無いかのように平然と構えなおした。とその時、背後から少女の悲鳴が!つい振り返って君の姿(見たことも無い恐ろしげな猛獣!)を見てしまったらしい。彼女は気絶したようだ。
シャドーの移動とデトリタスの透明化は、邪魔する者もいないので、ただ成功を告げるのみ。
セレニティの魔法は、炎の力に基づき、物体を自由自在に変化させる術だ。良いカード(忘れました)が出て成功。望み通り、追手は脚を取られて、歩が止まった。
次はどうする?シャドーとアンバーは追手に各々対峙。デトリタスとセレニティは少女を助け起こしに行くと言う。
では、さっき判定をしなかったシャドーから行くか。長く鋭い爪を構える異形の追手に、降伏を呼びかけると言うのだが...シナリオ設定上、追手は問答無用とばかり攻撃するな。戦闘は基本的にカードで判定する。折角だから、一回の攻防ごとにカードを引くという、最も頻度の多いやり方でやろう...本当は最も重要な局面用なのだが、最初だし。
引いたカードは...何と「コカトリス(Cockatrice)」の正位置!戦闘では不吉な「腐敗」の意味を持つ。いきなり重傷を与えるのはプロット上好ましくないが...取り合えず"制止に構わず、鋭い、しかし不潔そうな爪を繰り出してきた"と告げる。シャドーはそれを避けつつ、腰の刀でその腕を斬り上げると言う。カードが悪いから..."剣はその腕に食い込んだが、相手は表情も変えない。常人を超えるパワーで更に爪を繰り出してきて...バランスを崩したシャドーの頬を掠めた。痛みが走る"。「腐敗」だから...よし、この傷は手当てをちゃんとしないと化膿することにしよう。
次はアンバー。虎の爪で一撃食らわすというが...カードは「フェニックス(Phoenix)」の逆位置。悪い「滅び」の意味の上、「炎」の象徴を含むので、戦闘では最悪だ。追手は頑丈が取柄だし、それを教える意味で..."虎の爪は敵に刺さったが、我関せずとばかりにそのまま敵も爪を繰り出す。敵の爪はアンバーの体に深く食い込んだ。鋭い痛みが走る"。
残る二人は少女に駆け寄る。息はあり、気絶しただけだと告げる。他には特にすることもないようなので、次へ。アンバーとシャドーは再度攻撃。デトリタスとセレニティは?...仲間を信じて傍観か。
シャドーは追手の腕を切り飛ばし、返す刀でもう一方の腕も切り落とす。カードは「竜(Dragon)」。意味は「賢明さ」で直接戦闘とは関係無いが、成功には違いない。追手の干乾びたような腕はいとも簡単に切断され、宙を舞うが...痛みを感じた素振りも無し。切断面からは血の一滴も流れず、代わりに黒い瘴気のようなものが僅かに漏れでたが...直に止まった。
アンバーも怒りの爪を出すが...こちらも良いカードだ。「農民(Peasant)」の正位置は「純粋な力」を表す。力溢れる虎の腕に、追手は一溜りも無かった...と説明。
かくして追手どもは戦闘不能になったが...シャドーは止めを刺さず、退去を命ずる。そういうことなら仲間のところへ戻らせよう。追手はしばらく悩んだ後、ギクシャクと走り去り始めたよ...と、その時。シャドーが「そいつの影の中に潜り込み、一緒に付いて行く」と言い出した。
正直、私は慌てた。確かにシャドーは「影に溶け込む」特殊能力を持っているが、てっきり物陰に完全に身を隠す能力だと解釈していて、自分より小さな影の中に姿を消すとは思っていなかったのだ。シャドーのシートを再読...そういう風にも読めなくは無いか...よし、ならばプレイヤーの発想を優先させよう!追手はまったく気付かず、去っていった。
...いきなり二手に分かれるとは予想外だったが(笑)...残る三人、アンバー、デトリタス、セレニティは、少女を介抱することにしたので、そちらから...。
マスターの懺悔とこの続き
さて、懺悔のお時間です。
えー、実はここで私は大変なミスを犯しました。上記の戦闘でアンバーとシャドーは傷を負っているのですが...何と、負傷ルールを適用するのを完全に忘れていたのです。ついでに言いますと、シナリオ中、この後も忘れたまま話が展開していきます。...はい、結局ルールを思い出すことなく結末まで行ってしまいます。これぞ"初プレイ"の面目躍如と言えましょう(開き直り)。
さぁ、異世界に来るや、いきなり不穏当な展開。謎の追手の背後にいる者は何か?少女はなぜ追われていたのか?主人公たちの来訪の目的は成就するのか?すべてはこの後明らかになるのですが...付属シナリオのネタをばらすのには抵抗がありますから、ひょっとしたら続きは出さないかも知れません。その場合はどうかご理解下さい。