日本TRPG界の現状 (1997年執筆)

本論考は、1997年5月1日に発表されたものです。文中の趣旨が、現在の筆者の考察とは異なる場合もありますので、ご注意願います。

卓上ロール・プレイング・ゲーム(Table-top Role Playing Game 以下TRPG)が日本に本格的に紹介され遊び出されてから、およそ十年が経過しようとしています。私が地元のデパートでダンジョンズ&ドラゴンズの日本語版((株)新和)を見つけて買い求め、友人と遊び始めたのがつい先日のことであったように思えます。最初にこのゲームと出会った時の興奮は忘れることができません。

"このゲームは無限の可能性を秘めている-"

それは身を震わすほど刺激的な直感でした。

それから十年余りの年月が経ちました。数多くの人々によって日夜遊ばれ、また研究されてきた日本のTRPG。出版する業者も増え、和製システムが数多く出版されました。取り扱う雑誌の数もかつてとは比べるまでもありません。TRPG業界は著しく発展しました。

しかし、一つの文化としての、一つの遊びとしてのTRPGは発展したのでしょうか?

私はそうは思いません。量的には増えましたが、質的には変わらないばかりか、ある面ではむしろ悪化しています。更に致命的なのは、かつてあった活力が失われていることです。

その根本原因は「この十年間業界を導いてきた人々の政策が間違っていた」ためであると私は考えています。その個々の政策の過ちについては、対処策も含めて各論で取り扱います。

日本のTRPG界は十年程前に生まれました。今それは、活きることもなく死ぬこともできず、目標も定まらぬままただ惰性で進むだけの状態です。現状に本当に満足している方はそのまま腐ってください。私はもっと面白いゲームをやりたいのです。

同論・反論・異論をお待ちしております。どのような意見でも歓迎したいと思います。私はこのゲームと、それを遊ぶ人によって生み出される無限の面白さを信じています。