CoC7考(4) マーシャルアーツから格闘効果へ
『クトゥルフ神話TRPG』(CoC)の最新版『Call of Cthulhu RPG 7th edition』(CoC7)のルールシステムについて、あれやこれやと考えたことを書いてまいります。その4回目は、「マーシャルアーツから格闘効果へ」について。
独立した「マーシャルアーツ」技能は、CoC7では無くなりました。「格闘/喧嘩」技能が50%以上ある者は何らかの武術を身につけているだろう、というくらいで、旧版CoCのようにダメージを増やしたりはできません。
しかしながら「格闘効果」(Fighting Maneuver)という概念の導入によって、活劇映画のような戦闘は表現され易くなっています。「格闘効果」とは、戦闘時に相手に与える、ダメージ以外のあらゆる効果のことです。その類型は次の通り。
- 相手が持っている何かを奪う。武器を叩き落とす、カバンを奪い取る、など。
- 相手の次の行動にペナルティダイス(PD)を与える。足払い、投げ技、猫騙し、など。
- 相手への(自分か味方の)次の行動にボーナスダイス(BD)を与える。羽交い絞め、猫騙し、など。
- 相手によりPD/BDを課せられた格闘効果から逃れる。羽交い絞めを解く、など。
- 相手を望まぬところに移動させる。壁にぶつからせる、窓や崖から突き落とす、など。
近接戦は、攻撃側の「ダメージを与える攻撃」か「格闘効果を与える攻撃」と、防御側の「回避」か「ダメージを与える反撃」または「格闘効果を与える反撃」との攻防となります。以下、攻防の例。
- 攻撃側はパンチ、防御側はそれをいなして壁にぶつからせる。
- 攻撃側は足払いをかけ、防御側はそれを避けて足払いをかけ返す。
- 攻撃側は背負い投げ、防御側は投げられた勢いで着地するや投げ返す。
- 攻撃側は羽交い絞めを継続、防御側は壁を蹴って後ろに転んで解除。
- 攻撃側は崖から突き落とす、防御側はその股をすりぬけて転落させる。
「格闘効果」が組み込まれた攻防は、プレイヤーの発想と描写によって様々な場面を生み出します。さぁ、活劇映画を観て予習しておきましょう。
次回は、CoCとは異なる、CoC7ならではの武術ルールを、私なりに試作してみます。