CoC7のルールシステム (6)~(8)の判定例
『Call of Cthulhu RPG』第7版(CoC7)のルールシステム、「行為判定」と「無理押し判定」、そして「人脈」判定の例を、先に作成した私立探偵のデータを用いて示します。
私立探偵は、事件の謎を解き明かすべく、ある経営者の事務所に忍び込むこととした。ある夜、彼は事務所の扉に近づく。鍵がかかっているに違いない。
私立探偵の「鍵開け」は50%、「無理押し」するなら成功率は74.5%となりますから、プレイヤーは自信ありげです。しかし、ゲームマスター(キーパー)は、失敗した時の劇的な展開を思いつかなかったため、判定なしで鍵を開けられたことにしました。成功したみたいでも判定はしていませんから、成長のためのチェックマークはつきません。
少し力を入れただけで鍵は外れてしまった。素早く事務所に入った私立探偵は、早速書類を漁り始めた。何か手がかりがあるはずだ。
ゲームマスターは、通常の失敗ならともかく、大失敗なら劇的な展開に繋げられると考え、プレイヤーに「図書館」技能による「並難度」での行為判定を求めます。私立探偵の「図書館」は50%なので、「完全失敗」は出目が00の時のみです。プレイヤーは判定で得たい結果(Goal)を「経営者と事件とを結び付ける手がかりを見つける」こととして、サイコロを振りました。
- 「図書館」技能による行為判定の結果
- 出目が01なら「完全成功」。経営者がある商社と共に事件に関わってたことを示す文書を見つけた。加えて(とゲームマスターは少し考え)、今後の計画についてのメモも見つけ、先回りができるようになった。
- 出目が02~50なら「成功」。経営者がある商社と共に事件に関わってたことを示す文書を見つけた。
- 出目が51~99なら「失敗」。ある商社との連絡文書を多く見つけたが、事件との関係を示すものは無かった。「無理押し判定」で再挑戦可能。
- 出目が00なら「完全失敗」。ある商社との連絡文書が多く見つけたが、事件との関係を示すものは無かった。「無理押し判定」はできない。
「無理押し判定」するなら、プレイヤーはどのように工夫するかを説明します。
もう一度すべての書類を広げ、関連づけながら並べていけば、見えなかった関係が見えてくるかも知れない。簡単に諦めるわけにはいかない。
ゲームマスターは、プレイヤーが望むなら、「大失敗の予感」を述べます。
たくさんの書類の中に、そこにある筈の無い何かを、うっかり忘れてしまうかも知れない。それが自分自身か、あるいは仲間を危機に陥れるかもしれない。
それでもプレイヤーが「無理押し」し、出目が50以下なら、最初に「成功」した時と同じ結果になります。51以上なら「大失敗」、きっとプレイヤーは何かを忘れてしまったのです。私立探偵自身の名刺か、あるいは仲間の連絡リストか。この大失敗のせいで私立探偵やその仲間を敵が襲うかもしれません。そうなったらそうなったで、ゲームプレイは前進するわけで、誰も困りませんが。
私立探偵は、書類に出てくる商社について記憶を辿った。確かその商社の顧問弁護士を、高校時代の友人がやっていたはずだ。
非プレイヤー用キャラクター(NPC)である顧問弁護士も、高校時代云々も、プレイヤーの思いつきです。このように「人脈」判定はプレイヤーが主導的に行ない、弁護士なら「法律」技能で成功すれば、そのNPCが登場することになります。
- 「法律」技能による行為判定の結果
- 「完全成功」なら、顧問弁護士は私立探偵に協力してくれる。しかも、その事件に関する重要な情報を握っていると相談してくる。
- 「成功」なら、顧問弁護士は私立探偵に協力してくれる。あとは、進め方次第。
- 「失敗」なら、顧問弁護士は私立探偵の旧友では無かった。残念。「無理押し」する?
- 「完全失敗」なら、顧問弁護士は私立探偵の旧友と同姓同名の別人だった。接触するとトラブルになるかも知れない。
- 「大失敗」なら、顧問弁護士は私立探偵の旧友だが、経営者の一味でもあった。彼は私立探偵を罠に嵌めようとするだろう。
このような「人脈」判定によって、「法律」など一部の技能は、その利用の幅が広がります。また「大失敗」した場合、プレイヤー主導で登場した弁護士が恐るべき敵となる、というゲームマスターにとっても予定外の展開となります。
私立探偵は事務所を出て、家路に就いた。しばらく歩いた後、何か違和感を感じた。
「目星」技能による判定に成功すれば、私立探偵は尾行に気付き、姿をくらますか、戦いを挑むかもしれません。目星に失敗したなら、気づかぬまま尾行され、情報を与えてしまうでしょう。大失敗すれば、無防備な状態で攻撃を受け、負傷するかもしれません。(→判定例の続き)
キャラクター同士が正面切って何らかの行為を競い合う場合、その結果は「対抗判定」(Opposed Roll)によって決められます。この「対抗判定」の手順について、次回説明します。