CoC7のルールシステム (7) 無理押し判定
『Call of Cthulhu RPG』第7版(CoC7)のルールシステムから今回は、行為判定に失敗した場合に行う「無理押し判定」について紹介します。
「無理押し判定」(Pushing theRoll、Pushed Roll )とは、一度「失敗」した行為判定において、更に時間と手間を費やして再挑戦し、無理矢理「成功」に変えようとする判定です。「無理押し判定」に成功すれば、最初の行為判定で成功した時と同じ結果が得られます。失敗したなら、当初の「失敗」よりも更に悪い結果が待っています。
「無理押し判定」は、次のような場合には行えません。
- 戦闘時の行為判定、およびダメージ算出のためのロール。
- 正気度判定、および正気度減少値を決めるためのロール。
- 幸運ロール。(オプションルール)
- 上記以外の技能値(または能力値)による行為判定で、ゲームマスターが許可しない場合。
- いかなる場合であれ、プレイヤーが望まない場合。
「無理押し判定」で失敗したらどうなるか、プレイヤーが事前に知りたい場合は、ゲームマスター(キーパー)は「大失敗の予感」(Foreshadowing Failure)を与えます。シナリオの背景設定と深く結びついていなければ、プレイヤーに決めてもらっても構いません。
行為判定で「失敗」した後、「無理押し判定」は次のような手順で行われます。難度などは、状況が大きく変わらない限り、先行する行為判定と同じです。
- 「無理押し判定」を望むプレイヤーは、どのように再挑戦するかを宣言する。ゲームマスターは、それを許可するか否かを決める。
- ゲームマスターは、プレイヤーが望むなら、「大失敗の予感」を述べる。それを聞いて、プレイヤーは「無理押し判定」をやめてもよい。
- 成功ならプレイヤーが、失敗ならゲームマスターが、その結果について描写する。
「無理押し判定」における大失敗は、「失敗」はもちろん、しばしば「完全失敗」よりも悪い状況を作り出します。最悪ではあっても、「探索者(PC)の死」などによってシナリオが中途で終わることは避けなくてはなりませんが、負傷や仲間NPCの死なら起こりえます。ルールブックでは技能のひとつひとつについて、「無理押し判定」をどのように再挑戦しうるか、大失敗したらどうなるか、が例示されています。
私見では、この「無理押し判定」こそはCoC7の肝のひとつです。「無理押し判定」をうまく使えば、行為判定に深みを出すことができます。大失敗は、サイコロの出目という運だけでは起こりません。リスクを知った上で「無理押し判定」を選ぶ時、プレイヤーは大失敗の恐怖を(ゲームマスターから与えられるのではなく)自ら掴み取ろうとするのですから。
次回は、技能値による行為判定について補足。技能ごとの「無理押し判定」説明文を一部紹介、またゲームプレイの中で探索者が「人脈」を得るための判定についても、プレイヤーが覚えておくべきこととして説明します。