「シーン制」とは、「どれ」か?

ここまでで「Scene」、即ち「場面」および「シーン」という概念を、その用法や効能から三種類に整理してみました。卓上RPGの「遊び方」として導入された順序通りに並べると、次の通りです。

  1. シナリオ運用結果としての「場面」
  2. シナリオ構成要素としての「シーン」 (TORG型シーン制)
  3. プレイヤー管理装置としての「シーン」 (FEAR型シーン制)

各々に一長一短がありますから、優劣を云々するというよりは、「どれで遊ぶか」という選択肢です。ルールブックでいずれかが推奨されていたとしても、大抵のゲームシステムは、それと異なる遊び方でも楽しく遊べます。もちろん、参加者全員がそれに合意していれば、ですが。

さて、ここでようやく、「シーン制」とは何か?という論点に戻ります。要は、上記三種の「遊び方」の内、「シーン制」とはどれか?という問いです。

私の回答では「シーン制」とは、シナリオ構成要素として「シーン」を用いる「遊び方」である、となります。つまり、上記2と3が「シーン制」であって、1は「シーン制」ではありません。

そして「シーン制」は更に、二種類に分かれます。ひとつは、シナリオ構成要素としてのみ「シーン」を用いる「TORG型シーン制」。もうひとつは、それにプレイヤーを管理する機能を加えた「FEAR型シーン制」です。

ひょっとしたら、上記1をも含めて「シーン制」と呼んでいる方がいらっしゃるかも知れません。しかしながら、1で用いられる「場面」概念は、2と3の「シーン」とはまったく異質なものですから、これらは分けて扱われるべきです。

また「TORG型」と「FEAR型」とも、同じ「シーン制」ではあっても性格が異なります。これらを一緒くたに「シーン制」という言葉で括ってはいささか論じ難いので、これらも別の遊び方として論じられるべき、と私は考えます。