初心者専用ルールシステム

私が考える「初心者専用ルールシステム」とは、卓上RPGのルール扱いに慣れていない者が、それを覚えなくとも、数回は遊ぶことができる、というものです。そうなると、「データ」やその「作成ルール」「運用ルール」は、少なければ少ないほどよい、むしろ無い方が良い、ということになります。

以下、「初心者専用ルールシステム」の極端なデザイン例として、「データの無いルールシステム」を示します。現行一般的なルールシステムの対極に位置するもの、と言えるでしょう。

まずは、判定すら行われないルールシステム。

データも判定も無いルールシステム
データは無い。
すべてのキャラクターはあらゆる面で同じ能力を持つ。そのため、キャラクターデータは用いられない。
キャラクター以外の人物や動物なども同じ能力を持つ。そのため、それらのデータは用いられない。
あらゆる武器、あらゆる防具は、同じ効力を持つ。そのため、それらのデータは用いられない。
データが無いから、それを作成するルールも無い。
キャラクターのデータが無いので、キャラクターを作成するためのルールは用いられない。
データが無いから、それを運用するルールも無い。
あらゆるデータが無いので、データに基づいてキャラクターの行動の成否を判定するルールは用いられない。
キャラクターの行動は担当するプレイヤーが決める。その結果はすべてゲームマスターが決める。

結果をすべてゲームマスターが決めるのは面倒だ、と思われる方もいるでしょう。データには基づかないにせよ、ただランダムに判定することも可能です。

ランダムな判定のみのルールシステム
データは無い。それ故、それを作成したり運用したりするルールも無い。
キャラクターのあらゆる行動は、コインを投げて表が出たら成功、裏なら失敗とする。
あるいは、サイコロの出目が奇数だったら成功、偶数なら失敗とする。
サイコロの出目が、ゲームマスターが決めた数値以上だったら成功、でも良いかな。
ゲームマスターがまず振って、その出目以上を出せれば成功、でも悪くないよ。

行動の成否がランダムに分かれるのは嫌だ、という方のためには。プレイヤーに「成功する権利」(成功権)を与える、というアイデアがあります。

プレイヤーが「成功権」を持つルールシステム
データは無い。それ故、それを作成したり運用したりするルールも無い。
プレイヤーは、キャラクターの行動を成功させる権利を持つ。ゲームマスターは、NPC用の「成功権」を持つ。
例えば、プレイヤーは各々、一場面当たり三回分の「成功権」を持つ。ゲームマスターは、一場面当たり五回分を持つ。
あるいは、プレイヤーは「成功権」を無制限に持つ。プレイヤー全員の三回分の行使につき、ゲームマスターが一回分を得る。
ゲームマスターに、プレイヤー側に失敗させる「失敗権」を持たせるのは、何となくヤバイ。

くどいようですが、以上はあくまでも極例です。私が目指したい傾向を、少しでもお伝えできれば幸いです。

後々、極端でない例も示していく予定です。既存のルールシステムの「初心者専用」化、について。「初心者専用世界設定」や「初心者専用遊戯法」を先にするか、まだ考え中。