誰が、どこで、定義するのか
「TRPGの理論」について私なりに語ろうかと思ったのですが、先に「定義」について述べておきます。
「定義」とは、言葉の意味を限定することです。その際、必ず「誰が」と「どこで」の二つの条件が伴います。「誰が」とは「その定義を使う者」のこと、「どこで」は「その定義が使われる範囲」です。
論考での「定義」は、「私はこの論考で、この言葉をこういう意味で使いますよ」という、読者に対する宣言または確認です。読者はその論考を読む際、論者がどういう意味で言葉を用いているか、注意しなくてはなりません。読者自身が普段どういう意味で使っていようとも、その論考を読む際には論者の定義に合わせねば、理解はますます難しくなります。
議論の場でなら、「私たちはこの議論で、この言葉をこういう意味で使いましょう」という申し合わせ(のための相談)となります。各論者はその議論に加わっている間、どういう意味で語を使うのかを、互いに合わせなくてはなりません。各論者が普段どういう意味で使っていようとも、その議論においては意味を統一しないと、議論が成り立ちません。
「定義」とは暫定的、仮定的なものです。あらゆる者、あらゆる場合に通じる「定義」など、おそらくは不可能であり、そもそも誰もしようとはしていないでしょう。