「正気度」ルールを解釈する
ルールシステム編の最後は、「クトゥルフ神話TRPG」(CoC)特有のルールである「正気度」について考えてみます。以前にも一度やっていますけど、改めて「特徴」を並べると次の通り。
1、初期値は無作為に決められる。
2、上限値は「クトゥルフ神話」技能値によって決まる。
3、大きいほど正常な行動を維持し易く、小さいほど行動不能になり易くなる。
4、神話生物との遭遇、魔道書の読解、呪文の行使などによって減少する。
5、神話に関わる事件の解決、神話生物の退治(退散)などによって増加する。
さて、このようなゲームシステム特有のルールについては、それをどれだけ重大なものとして扱うかが、ルールシステム解釈の上で重要となります。この場合なら「正気度こそCoCの真髄」と捉えるか、「正気度は耐久度やマジックポイントのようなデータのひとつに過ぎない」とするかでゲームプレイが変化するのです。ここでは(私の好みとして)後者を前提に「向き不向き」を解釈してみます。
1a、プレイヤーキャラクター(PC)間で分担されるべき役割は、正気度の初期値が手掛かりとなる。
2a、PCの役割のひとつとして「クトゥルフ神話」技能の習熟があり、これは分担される。
3a、狂気に陥る怖れがある行動には、正気度が高いPCだけが参加すべきである。
4a、神話生物との遭遇、魔道書読解、呪文行使などをPC間で分担し、減少を最低限とすべきである。
5a、事件解決や神話生物退治を目指し、また増加しうる正気度内での行動を心掛けるべきである。
これらの解釈から浮かび上がるのは、「PC間で役割を分担し、適宜行為者を選択、事件解決に全力を挙げるチームプレイ」の図式です。キャラクター設定やそれを活かした描写・演技は自由にやって構いませんが、「チームプレイ」という基本をプレイヤー全員が理解していることは不可欠です。そのような了解無しに好き勝手に行動するような遊び方は、「正気度」ルールには向いていない、と考られえます。
「正気度こそ真髄」と捉えた場合でも、「正気を保つことに重きを置く」か、「狂気に陥る姿を楽しむ」かでプレイは異なります。例えば呪文についてなら、前者であれば「憶えないし使わない」でしょうが、後者では「自ら破滅の扉を開く」ものばかりが推奨されます。神話生物との遭遇では、前者なら「危険の匂いを嗅ぐや否や逃げ出す背後でカタストロフ」、後者なら「派手な出目を拝んだ後で気付いた時には拘束具」が定番となるでしょう。
ちなみに私が以前まとめた「効果はそこそこだが危険も少ない呪文」は、「チームプレイ」向き資料です。