『Call of Cthulhu RPG』第7版(CoC7)のルールシステムについて、今回は「正気」(Sanity)と「狂気」(Insanity)を巡る変更点を紹介します。正気度(SAN)ロールなどの基本は旧版通りですが、次のような点が変わりました。
- 「狂気の発作」「狂気の潜伏」「狂気の回復」の三つの状態が設けられた。
- 「狂気の発作」の内容を無作為に決めるため、二種類の表が設けられた。
- 「狂気の発作」の度に「背景設定」が追加/変更されていくことになった。
三番目の「背景設定」(Backstory)追加/変更は、キャンペーンプレイ向きのルールですので、省略します。
CoC7では狂気の状態が、旧版にもある「狂気の治療」(=狂気の回復)を加え、次の三段階に整理されました。後述しますが、「狂気の発作」の時のみ、探索者(プレイヤー用キャラクター、PC)をゲームマスター(キーパー)が動かす、という点が重要です。
- 「狂気の発作」(Bout of madness)
- 目の当たりにした物事が受容の限界を超えて、一時的に心身を自己管理できなくなった状態。
- 狂気の発作は、1D10戦闘ラウンド間(約10秒~2分ほど)続く。(例外あり)
- PCの行動決定はGMに任され、二種類の表によって決められる。
- 発作の間は、SANが更に減ることは無い。
- 「狂気の潜伏」(Underlying insanity)
- 狂気の発作が収まり、正気に返ったものの、精神的に不安定で、容易に発作が再発する状態。
- 狂気の潜伏は、狂気の種類によって異なる期間続く。(後述)
- PCの行動決定はPLに戻されるが、現実が歪んで見えることなどがある。
- 潜伏中にSANが1ポイントでも減ると、再び「狂気の発作」が起こる。
- 「狂気の回復」(Recovery)
- 精神が元通り安定し、「狂気の潜伏」が終了した状態。
- どのようにして回復するかは、狂気の種類による。(後述)
- 狂気の回復によって、正気度(SAN)は回復しない。
「狂気の発作」中のPCの行動を決める二種類の表「Real time」と「Summery」は、旧版の「一時的狂気表」(Results of Temporary insanity)に大幅に手を加えたものです。どちらの表を用いるかは、発作が起こった時に、その場に(発狂していない)他のPCがいるか否か、で決まります。周囲に他のPCがいれば、「狂気の発作」は必ず1d10戦闘ラウンドで終わります。さもなくば、数時間続くこともあります。
これらにより三種類の狂気、「一時的狂気」「不定の狂気」「永久的狂気」各々の差異が明確になりました。
- 「一時的狂気」(Temporary insanity)
- 狂気の潜伏は、1D10時間続く。
- 潜伏が終わった後、心休まる時間をしばらく過ごせば、判定無しに狂気は回復する。
- 「不定の狂気」(Indefinite insanity)
- 狂気の潜伏は、回復に成功するまで不定期間続く。
- 一月ごとに回復判定(環境により95%または50%)を行い、成功すると狂気は回復する。
- 「永久的狂気」(Permanent insanity)
- 狂気の潜伏は、永久に続く。
- 狂気が回復することは無い。
- PCとしては使用できない。
さて、CoC7における上記ルールから確認できる、最も重要なことは次の一事に尽きます。
PCが「一時的狂気」や「不定の狂気」に陥っても、「狂気の発作」が起こっている間以外は、プレイヤーが自由に動かしてよい。
旧版では、「一時的狂気」は短期で1分~3分弱、長期なら半日~4日ほど。「不定の狂気」は1か月~半年続くため、狂った時点でシナリオに継続参加できなくなっていました。キャンペーンプレイならともかく、コンベンションなどでの単発プレイでは致命的なことです。
対するCoC7では、たとえPCが「不定の狂気」に陥ろうと、狂ったままゲームプレイを継続させることができます。発狂したままであろうと、そこら中に幻覚が見えようと、PCはプレイヤーが動かし続けるのですから。これでGMも安心して、じゃんじゃか正気度ロールをやらせることができるではありませんか。良かった、良かった。
...本当には、どれくらい良いかは、試してみないと分かりませんけどね。
と、この辺でCoC7の変更点紹介を、一旦終えることとします。「射撃戦」とか、魔道書のルールとか、まだ書きたいこともありますし、いずれ気が向いたら続きを書くかもしれませんが。
本当に望ましいことは、様々な改善がなされたCoC7の日本語版が、早く出てくれることです。心からそれを望み、待っていたいと思います。