『Call of Cthulhu RPG』第7版(CoC7)のルールシステム、キャラクター同士が競い合う場合の「対抗判定」について、今回は紹介します。次回以降に説明する戦闘も、この「対抗判定」が基本となります。
「対抗判定」(Opposed Roll)では、二人以上のキャラクターが各々技能値(または能力値)による「行為判定」を行ない、その「成功度」を比較することで勝敗を決します。このような「対抗判定」は、プレイヤー用キャラクター(PC)同士が競い合う場合、あるいはPCが特に重要な非プレイヤー用キャラクター(NPC)と競い合う場合に、用いられます。大抵の場合、「無理押し判定」はできません。
「対抗判定」の手順は、次の通り。
- ゲームマスター(GM)は、各キャラクターが対抗判定に用いる技能(または能力)を決める。
- そのプレイヤー(NPCならGM)は、成功によって得たい結果(Goal)を宣言し、サイコロを振る。
- 成功度が相手より高かった者が、結果について描写する。両者同じなら、状況により判断。
基本ルールブックには、次のような文があります。
- 「完全成功」(Critical success)は、「大成功」(Extreme success)に勝つ。
- 「大成功」は、「上成功」(Hard success)に勝つ。
- 「上成功」は、「並成功」(Regular success)に勝つ。
- 「並成功」は、「失敗」(Failure)と「完全失敗」(Fumble)に勝つ。
- 成功度が同じなら、技能値(または能力値)が高い方が勝つ。それも同じなら、行き詰った状態となるか、双方で再度の判定を行う。
「行き詰った状態」が具体的にどのような状況なのかは、個別に判断されます。「行き詰った」といえど、一方に有利で、他方に不利な状況かも知れません。状況的に「行き詰った状態」がありえないのであれば、ただちに再度の判定を行います。
このように「対抗判定」では、「成功度」を比べて勝敗を決しますから、行為の難しさを「難度」(必要とされる「成功度」)で表現できません。このため「対抗判定」では、有利さは「ボーナスダイス」(Bonus Dice)によって、不利さは「ペナルティダイス」(Penalty Dice)によって表されます。なお、ボーナスダイスとペナルティダイスの両者を含めて「修正ダイス」と称するのは、私の造語です。
- 有利な条件によって「ボーナスダイス」を1得たら、十の位を示す十面体サイコロをひとつ多く振る。すべての十の位のサイコロの内、最終的な出目(01~00)を最も良くするサイコロを採用して判定する。
- 不利な条件によって「ペナルティダイス」を1得たら、十の位を示す十面体サイコロをひとつ多く振る。すべての十の位のサイコロの内、最終的な出目(01~00)を最も悪くするサイコロを採用して判定する。
- ボーナスダイス1とペナルティダイス1とは、互いに打ち消し合う。
大雑把に言えば、ボーナスダイス1とは2回サイコロを振って良い方の出目で、ペナルティダイス2なら3回サイコロを振って最も悪い出目で、判定の結果を得ることです。ボーナスダイスおよびペナルティダイスは1であっても、成功率に大きく影響します。ざっと算してみたところ、例えば25%の成功率なら、修正ダイス1で43%か6%、修正ダイス2で68%か1%未満、修正ダイス3なら90%または0%になってしまいます。修正ダイスは、通常は1あるか無いかくらい、極端な状況でも2を上限とする、という具合に用いるのが良いようです。
さて、さほど重要でないNPCが相手であっても、特に重要な局面であれば、「対抗判定」が相応しい場合があります。即ち、キャラクターの生死を賭けた「戦闘」です。次回からはいよいよ「戦闘」における判定について説明してまいります。
(※厳密に言うなら、「対抗判定」を用いるのは「格闘戦」だけで、「射撃戦」や「追撃戦」では異なります。)