『Call of Cthulhu RPG』第7版(CoC7)のルールシステムから、その基本である行為判定について、今回は紹介します。
技能値による行為判定(Skill Roll)および能力値による行為判定(Characteristic Roll)は、旧版同様「D100」(十面体サイコロを二つ振り、ひとつを十の桁、もうひとつを一の桁と読む)によって数値以下を出すことで成功(Success)、さもなくば失敗(Failure)となります。CoC7では「D100」の出目によって、六段階の「成功度」(Level of Success)が表現されます。
- 完全成功(Critical Success):出目が「01」の場合。ありうる最善の結果が得られる。
- 大成功(Extreme Success):出目が「技能値/能力値の1/5」以下の場合。
- 上成功(Hard Success):出目が「技能値/能力値の1/2」以下の場合。
- 並成功(Regular Success):出目が「技能値/能力値」以下の場合。
- 失敗(Failure):出目が「技能値/能力値」より大きい場合。状況によっては「無理押し判定」(後述)が可能。
- 完全失敗(Fumble):出目が「96~00」の場合。技能値/能力値が50以上なら「00」の場合。ありうる最悪の結果となり、「無理押し判定」もできない。
ゲームマスター(キーパー)は、行為の難しさ(難度:Difficulty Level)によって、あるいは相手取る非プレイヤー用キャラクター(NPC)の技能値/能力値によって、次のような「成功度」をプレイヤーに求めます。
- 簡単な行為なら、判定なしで成功する。
- 並難度:少しく難しい、あるいは技能値/能力値49以下を相手取るなら、「並成功」以上が必要。
- 上難度:かなり難しい、あるいは技能値/能力値50以上を相手取るなら、「上成功」以上が必要。
- 大難度:極度に難しい、あるいは技能値/能力値90以上を相手取るなら、「大成功」以上が必要。
- 人類の限界を超える行為は、判定なしで失敗する。
普通のNPC(技能値/能力値は49以下と見なされる)が相手なら、「並難度」=「並成功以上」あれば十分です。
「大成功」が求められることは、例外的にしかありません。どのような場合が例外かは、基本ルールブックp.54~55に記されています。例えば、極度に騒々しい中でのひそひそ話を聞き取る、異星人が作った機械を修理する、など。
これら「成功度」と「難度」により、行為判定は次の手順で行われます。
- ゲームマスターが、行為判定に用いる技能(または能力)と、その「難度」を決める。
- プレイヤーは、成功によって得たい結果(目標:Goal)を宣言して、サイコロを振る。
- 成功ならプレイヤーが、失敗ならゲームマスターが、その結果について描写する。
以下、結果について。
- 「成功」なら、成功度による結果に差は生じない。例えば「並難度」なら、「並成功」でも「上成功」でも「大成功」でも結果は同じ。
- 「完全成功」のみ、成功以上の良い結果が得られる。何が得られたか、プレイヤーが決めるか、ゲームマスターがシナリオ上で有利になる情報を与える。
- 「上難度」での「並成功」、「大難度」での「並成功」「上成功」は、「失敗」と同じ結果となる。
- 「失敗」しても、「無理押し判定」(Pushing the Roll、Pushed Roll)で再挑戦可能。可否はゲームマスターが決める。戦闘判定や正気度判定では不可。
- 「完全失敗」なら、失敗より更にひどい結果となり、また「無理押し判定」もできない。
「無理押し判定」については次回説明します。
なお、上記「Extreme、Hard、Regular」を「大、上、並」としたのは便宜上のことで、将来日本語版が出版された時には、私もその訳語を用いたいと思います。
基本ルールブックp.194の記述から解釈すると、行為判定はその成否がゲームプレイにおいて劇的な効果を及ぼす時にのみ行われます。「D100」による上記判定では、常に失敗の可能性がありますから、成功した時と失敗した時との双方を想定しておかなくてはなりません。出目が悪かったからというだけでゲームプレイが中途で終わってしまうようでは、それはCoC7(と旧版CoC)のルールシステムに合った遊び方ではない、と言えます。