『Call of Cthulhu RPG』第7版(CoC7)のルールシステムについて、今回はキャラクター用職業データの例を示します。前回示したデータ作成手順の「2. 職業」で選ばれ、「3. 技能」に用いられるものです。
まず、職業に属する技能や「信用」の範囲の例として、私が愛する「私立探偵」(Private Investigator)のデータを紹介します。以下、CoC7基本ルールブックp.41より、技能の訳語はなるべく『クトゥルフ神話TRPG』(第6版)に倣いました。
- 私立探偵
- 職業技能:技芸(写真)、心理学、図書館、変装、法律、目星、交渉系技能(言いくるめ、脅迫、説得、または魅了)1つ、さらに1つの技能(コンピューター、鍵開け、銃撃など)
- 信用:9~30(貧乏~人並)
- 職業技能ポイント:EDUの2倍+(STRまたはDEX)の2倍
CoC7のプレイヤー向けルールブック(Investigator Handbook)p.87では、上記データに次の項目が追加されています。
- 私立探偵
- おすすめの人脈:法執行機関(警察など)、依頼人
「おすすめの人脈」(Suggested Contacts)は、「その職業の者が日々の仕事の中で知り合うであろう個人や団体」を示します。プレイヤー向けルールブックにしか書いてないだけあって、ゲームマスターが誘導に使うのではなく、プレイヤーが主導的に用いるデータです。使い方は、改めて紹介する予定。
さて、旧版『クトゥルフ神話TRPG』p.48所収「職業のサンプル」とほぼ同じ職業データが、CoC7基本ルールブックp.40~41にも収められています。それらを「職業技能ポイントの決め方」ごとにまとめて、次に示します。職業技能は省略し、「信用」の範囲のみ付記して。
- EDUの4倍
- 医師:信用30~80 (人並~裕福)
- エンジニア:信用30~60 (人並~裕福)
- 教授:信用20~70 (人並~裕福)
- 古物研究家:信用30~70 (人並~裕福)
- 作家:信用9~30 (貧乏~人並)
- ジャーナリスト:信用9~30 (貧乏~人並)
- 聖職者:信用9~60 (貧乏~裕福)
- 超心理学者:信用9~30 (貧乏~人並)
- 伝道者:信用0~30 (文無し~人並)
- ハッカー:信用10~70 (人並~裕福)
- 弁護士:信用30~80 (人並~裕福)
- DEXの2倍+EDUの2倍
- パイロット:信用20~70 (人並~裕福)
- APPの2倍+EDUの2倍
- エンターテイナー:信用9~70 (貧乏~裕福)
- ディレッタント:信用50~99 (裕福~大富豪)
- (STRまたはDEX)の2倍+EDUの2倍
- 軍士官:信用20~70 (人並~裕福)
- 警官:信用9~30 (貧乏~人並)
- 刑事:信用20~50 (人並~裕福)
- 私立探偵:信用9~30 (貧乏~人並)
- スポーツ選手:信用9~70 (貧乏~裕福)
- トライブ・メンバー:信用0~15 (文無し~人並)
- 農業作業者:信用9~30 (貧乏~人並)
- 犯罪者:信用5~65 (貧乏~裕福)
- 兵士:信用9~30 (貧乏~人並)
- (DEXまたはPOW)の2倍+EDUの2倍
- 芸術家:信用9~50 (貧乏~裕福)
- ミュージシャン:信用9~30 (貧乏~人並)
- (POWまたはAPP)の2倍+EDUの2倍
- 狂信者:信用0~30 (文無し~人並)
- (STR、DEXまたはAPP)の2倍+EDUの2倍
- 浮浪者:信用0~5 (文無し~貧乏)
これにより、能力値によって「向いている職業」「向いていない職業」ができたことになります。どの職業であっても、EDUとINTとが優勢なことは変わりませんが。
なお、「貧乏~人並」「人並~裕福」などの記述は原文になく、私が書き加えたものです。例えば「信用」が1~9だと「貧乏」(Poor)で、普段は一日一食の生活です。現代において「貧乏」な者は、一度に40ドル(ドル120円換算で4800円くらい)程度までの買物が可能となります。写ルンです(10ドル)なら買えても、デジカメ(450ドル)は無理。
次回は、前回の手順に則って、データ作成の例を示します。