「汽動重機ゲオマキナ」の舞台となる世界を、BRP(Basic Roleplaying)の23世界設定のひとつ「西部劇」(Western)に基づいて作成することとしました。そこで今回は、BRPルールブックp.305の「西部劇」設定を参照しつつ、その各項目をどのように扱うか、検討してまいります。
以下、まずはBRP世界設定「西部劇」の全文を紹介します。意訳多々あり。なお、職業の星印(★)は原文にはありません。
- 世界設定「西部劇」
- アメリカ史上における「西部」(The Old West)は、野牛、カウボーイ、ガンマン、土地争い、そして国家拡張から成り立つ。「西部」(The West)は、鉄道の新線開通と、新天地を求める東部民や元奴隷の絶え間ない流入により広がっていった。そこにはアメリカ先住民や冷血な殺し屋、無法者などの危険が待ち構えている。
- 登場人物たち (Character Types)
- 西部劇に相応しい職業は、芸術家(Artist)、運動選手(Athlete)、乞食(Beggar)、事務員(Clerk)、★牧夫(Cowboy)、職人(Craftsman)、犯罪者(Criminal)、探偵(Detective)、医師(Doctor)、★技師(Engineer)、芸人(Entertainer)、★探検家(Explorer)、★農民(Farmer)、賭博師(Gambler)、★狩人(Hunter)、報道記者(Journalist)、★作業員(Laborer)、★警吏(Lawman)、法律家(Lawyer)、商人(Merchant)、貴族(Noble)、神秘家(Occultist)、★操縦士(Pilot)、政治家(Politician)、宗教家(Priest)、★船員(Sailor)、学者(Scholar)、科学者(Scientist)、使用人(Servant)、呪術師(Shaman)、奴隷(Slave)、★兵士(Soldier)、★諜報員(Spy)、学生(Student)、教師(Teacher)、盗人(Thief)、部族民(Tribesman)、作家(Writer)。
- 魔術や超能力 (Common Powers)
- 「Magic」と「Sorcery」が、アメリカ先住民の呪術として存在するかも知れない。
- 科学技術や装備品 (Technology)
- 1850年から半世紀間の合衆国には、産業化による途方もない社会の変革と、南北戦争を終えたばかりのアメリカが維持しようとする古い生き様とが同居していた。鉄道が大量輸送の手段として一般化し、末期には最初期の自動車も登場した。潜水艦が初めて実用されたのは南北戦争であり、ライト兄弟は最初の飛行機の実験を始めていた。電灯がガス灯に変わりつつあり、船は木製よりも鉄製のものが増えていった。電信技術が国中の情報をほぼ瞬時に結びつけ、写真技術の一般化は誰もが家族の写真を持ち歩くようにしていた。
- 参考資料 (Inspirations)
- 「西部劇」の小説、テレビドラマ、映画、マンガなど、すべて。
- 冒険や事件 (Adventures)
- 史実としては、土地争い、鉄道路線の拡張、先住民との戦いなど。創作としてはお定まりの、拳銃の名手が演じる復讐と義侠の物語。更に、奇怪な科学技術、ラブクラフト的怪物、動く死体、サムライ、魔術などを加えても良い。
- お奨めのオプションルール (Suggested Optional Rules)
- 能力値を決める際、サイコロの出目を任意の能力に当てる。
- 所属する文化によって、能力値や技能値に修正が加えられる。
- 能力値「教育」(Education)と知識ロール(Knowledge Roll)。
- 技能に割り当てる値が増える(常人250、達人325、英雄400、超人500)。
以下、この世界設定をゲオマキナと絡めるための考察。
史実の「アメリカ西部開拓時代」を、そのまま使うつもりはありません。日本人である私にとっては愉快な時代ではありませんし、人種差別の扱いについて悩む手間も省きたいので。いわゆる「アメリカン・インディアン」に当たる「部族民」は、職業の選択肢から外すことになるでしょう。
「登場人物たち」で示された職業の内、星印が付いている「牧夫」(=カウボーイ;牧童)や「警吏」(=保安官)などは、「ゲオマキナ操縦者に向いている職業」即ち「プレイヤー用キャラクター(PC)向きの職業」です。それら以外の職業をPCとするなら、「個人的な興味の技能」として操縦用の技能を取得しなくてはなりません(機関士とするなら「重機械操作」技能を取得)。
「魔術や超能力」は、全員がゲオマキナ操縦者となるのですから、不要と考えます。非プレイヤー用キャラクター(NPC)にも、必要ないでしょう。巨大ロボットの敵は他の巨大ロボットのみ、とした方が、最初のコンセプト通りですし。「神秘家」や「呪術師」のような職業は、省くか、その性格を変えなくてはなりません。
「科学技術や装備品」は、記述通りにしたいところです。鉄道、自動車、潜水艦、飛行機などは、巨大ロボットとどのように競合させるか(あるいは、競合させないか)、検討せねばなりません。おそらくは、鉄道や自動車、また馬車などの役割を「ゲオマキナ」に当てればよいのかな、と考えております。上記説明にない装備品、例えば銃などについても、おいおい考えます。
「お奨めのオプションルール」は、すべて採用したいところ。二番目のためには「所属する文化」が複数必要で、具体的な設定を作りながら、データを整えなくてはなりません。また四番目については、PCをどの程度際立った人物とするのかを決める必要があります。どのルールを採用したとしても、そのルールに込められた「世界観」によってゲームプレイが自然と変わっていきますから、世界設定への影響も想像しておかねばなりません。
そしてゲームプレイにおける「冒険や事件」をどうするか、史実や創作を雰囲気や傾向に活かすとして、具体的な世界設定を決めつつ、随時考え直さなくてはなりません。それは、「冒険や事件」が起こりうるように世界設定を決めていく、という作業でもあります。
これら各項目で決めたことを幹として、より具体的な設定を枝葉のように伸ばしていきます。豊かな枝葉の栄養源は、様々な「参考資料」に触れることから得られます。上記「参考資料」ではあまりに大雑把なので、私がこの度集めた資料を次回示します。栄養源の例として。