卓上RPG(Table-top RPG;TRPG)の「世界設定」(World Setting)は、ルールシステムと同じように「世界観」(World View)に基づいて構築され、ルールシステムと共にゲームプレイの両輪となります。Chaosium社のゲームシステム『Basic RolePlaying』(BRP)のルールブックには23の代表的「世界設定」が示されており、それに手を加えることで個別の「世界設定」を作成することができます。
以下、BRPの23の「世界設定」を、時代順に列記します。世界設定名の私訳は、必ずしも直訳ではありません。
- 先史時代(Prehistoric)。文明や国家が生まれる以前。猛獣や恐竜、あるいは旧支配者と闘う。
- 古代文明(Ancient)。ギリシャやローマ、エジプトやペルシャで、勇者が怪物や神々と闘う。
- 暗黒時代(Dark Ages)。荒廃した中世ヨーロッパで騎士やバイキングが闘う、剣と斧の時代。
- 騎士道物(High Medieval)。中世ヨーロッパの封建社会で騎士道に生きる、剣と十字架の時代。
- 幻想世界(High Fantasy)。様々な種族が善と悪との勢力に分かれて闘う、魔剣と魔法の世界。
- 東洋物(Imperial Asia)。武術家と妖怪とが、また侍と忍者とが闘う、古き中華文明圏や日本。
- アラビア夜話(Arabian Nights)。冒険商人が活躍し、ジンが召喚される、中世イスラム世界。
- ルネサンス期(Renaissance)。驚くべき発明や陰謀に、銃とレイピアで立ち向かう新時代。
- 植民時代(Colonialism)。新大陸や異境を訪れた探検家が未知の怪異と闘う、秘境冒険物。
- 帆船の時代(Age of Sail)。植民地化が進み、列強が世界中で睨み合う、ナポレオンの時代。
- 産業化時代(Industrial Age)。蒸気機関等、新しい科学技術が世を席捲した、ネモ船長の時代。
- ビクトリア朝(Victorian)。世界帝国華やかなりし、好事家とシャーロック・ホームズの時代。
- 西部劇(Western)。新大陸を舞台に、拳銃持つ開拓者たちとネイティブアメリカンの世界。
- パルプ小説物(Pulp Era)。1920~30年代を舞台にしたハードボイルド探偵物や秘境冒険物。
- 惑星冒険物(Planetary Adventure)。地球人が他の惑星に召喚されて、超人として活躍する。
- 第二次世界大戦(World War II)。ナチスドイツか大日本帝国が悪者の、軍事物やスパイ物。
- ノワール(Noir)。1940~50年代を舞台に、暴力と葛藤に満ちた暗黒街でのハードボイルド。
- 現代物(Modern)。我々と同じような現代社会を舞台とする、アクション物やホラー物など。
- 超人物(Super World)。特殊能力を身につけた超人が、同様の特殊能力を持つ悪漢と戦う。
- 終末物(Post-Apocalyptic)。大戦や侵略によって国家や秩序が滅び、荒廃した近未来世界。
- 近未来/サイバーパンク(Near-Future/Cyberpunk)。科学が発達したが、人心は荒廃した社会。
- 宇宙探検物(Space Travel)。宇宙に進出した人類が、異星人の存在や未知の怪異と遭遇する。
- 宇宙活劇(Space Opera)。大宇宙を舞台に、様々な種族が善と悪との勢力に分かれて闘う。
一部で欧米の、というか、白人の独善が露骨ですが、そういう「世界観」でデザインされているのです。合わなければ、「世界観」ごと変えてしまいましょう。
上記「世界設定」の各々について、次のようなことが説明されています。
- 世界設定の概要
- その世界で一般的に遭遇する、人々の職業
- その世界に存在するかも知れない、魔術や超能力
- その世界に存在するであろう、科学技術や装備品
- その世界を想像する際に参考となる、小説や映画
- その世界でのゲームプレイで起こる、冒険や事件
- その世界にお奨めの、オプションルール
さて、BRP「汽動重機ゲオマキナ」の「世界設定」についても、これら23の世界設定を参考にすることとします。まず、既に決めたルールと相性の良さそうな「世界設定」を選びます。それから「巨大ロボット」という存在や「世界観」を組み込むために、かなり手を入れていく予定です。しかし、その前にちょっと寄り道。
23の「世界設定」の中に、いわゆる「中世ヨーロッパ風ファンタジー」に相当するものが三つ含まれています。上記「暗黒時代」「騎士道物」「幻想世界」の三設定がそれで、次回はこれらの内容まで紹介します。三者の内容を比較していただければ、BRPの「世界設定」の背後にある「世界観」を読み取ることもできるでしょう。