GM二人制 : アーカムマスター

GM二人制についての一考察」で述べた一案「舞台担当GM」の一例を、『クトゥルフ神話TRPG』(CoC)を用いて、示します。名付けて「アーカムマスター」。

H.P.ラブクラフト等が創作したアメリカ合衆国マサチューセッツ州の架空の町「アーカム」(Arkham)は、卓上RPG用の舞台設定として数点刊行されています。アーカムにある「ミスカトニック大学」についても先日、和訳出版されました。以下、日米の出版状況。

インスマスダニッチなどを含めた、いわゆる「ラヴクラフト・カントリー」(Lovecraft Country)の中でアーカムこそは、プレイヤー用キャラクター「探索者」(Investigator)の本拠地に相応しい町です。小説にも登場する人物や場所、その後日談なども記されて、ゲームの舞台として刺激に満ちた設定となっています。

とはいえ、シナリオと直接関係のない設定が豊富にあっても、ゲームマスター(キーパー)一人ではそこまで扱いきれません。シナリオ独自の人物や事件を回すだけで精いっぱい、プレイヤーたちにアーカムを楽しませる余裕など無く、それなら世界設定などいらない!と叫びたくなったなら?

それなら、舞台は「舞台担当GM」に任せて、「事件担当GM」に集中すればよいのです。任された「舞台担当GM」は、次のように遊びます。

  1. アーカムを受け持つ「舞台担当GM」即ち「アーカムマスター」は、『H.P.ラヴクラフト アーカム』の設定を読み込んでおき、ゲームプレイの際には本を忘れないようにします。
  2. あらかじめ(プレイヤーが探索者を作成している時にでも)「事件担当GM」に、シナリオで重要な役割を果たすアーカムの住人や場所の有無、あるなら誰/どこかを確認しておきます。
  3. ゲームプレイが始まったなら、進行は基本的に「事件担当GM」に任せます。プレイヤーの行先がシナリオと無関係なら、合図を受けて「舞台担当GM」が対応します。設定通りに、シナリオ本編を邪魔しないよう簡潔に済ませましょう。
  4. 当初使わない筈だった人物や場所を、「事件担当GM」が急遽使うことを思いつくかも知れません。その場合は、速やかに交替します。「事件担当GM」が設定をどう活かすか、楽しんでください。
  5. プレイヤーたちは、「舞台担当GM」(が操る人物)を味方につけようと画策するかも知れません。設定上妥当と判断したなら、提案を受けましょう。「事件担当GM」と話し合って決めても構いません。
  6. 「舞台担当GM」は、「事件担当GM」に対してもプレイヤーたちに対しても中立です。ただし、そのいずれに対しても、シナリオ進行に協力しなくてはなりません。「舞台」は、「事件」とその解決のためにあるのですから。

以上は、市販のサプリメントを利用した例示。独自設定については、また少し要領が違ってきます。その辺も、おいおい書きたいところです。

上記のような「舞台担当GM」の心構えについては、「事件担当GM」のそれと一緒に、改めてまとめる予定です。

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