Systemはメタメタルール

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金色老子さん作「System」について、その後の考察を記します。ツィッター(#kin_sys)でのやり取りが拝見していて面白く、色々と考えを巡らせることができたのと、直近の下記まとめにも刺激を受けましたので。

核心として、「System」とは「メタメタルール」なのではないか、との考えに至りました。以下、ルール、メタルール、メタメタルールの定義から。

ルール
狭義のルール。キャラクター作成ルール、行為判定ルールなどを指す。デザイナーから提供される。
道具みたいなもの。
メタルール
ルールの使い方。ゴールデンルールなどの「遊び方」。ゲーム参加者の合意で決まる。
道具の使い方みたいなもの。
メタメタルール
メタルールをゲーム参加者間でまとめるためのルール。金色老子さんのSystem。
道具の使い方を決めるノウハウみたいなもの。

卓上RPGで一般に「ルール」と言えば、上記「狭義のルール」のことです。しかしながら、金色老子さんが「ルール」と呼んでいるものは、FEARの「ゴールデンルール」やSNEの「最初に憶える大切なルール」のようなルール、つまり「ルールを用いる前提にある、参加者同士の合意」である「メタルール」のことではないか、と私は考えました。

メタルール」、私の過去の論考で言うところの「遊び方」は、ゲーム参加者同士の調整によって構築されます。具体的な方法は様々で、長い付き合い、以心伝心、今日はダンジョンハックをやります、(映像作品名)みたいに遊びましょう、皆さんは当然公式リプレイは読んでますよね、常に心にゴールデンルールを!などなど。皆で一緒に独自の遊び方を作っていく過程はゲーム本編に勝るとも劣らぬほど楽しいのですが、公式のものを上意下達式に受け入れた方が時間は短くて済みます。

さて、もし「メタルールを構築するためのルール」つまり「メタメタルール」があれば、誰でも独自のメタルールを自力でデザインし、遊べるようになります。それを目指してデザインされたものが「System」なのではないか、と推察する次第。そうだとすれば、その目的に成功しているかどうかはともかく、それをデザインする意義は十二分にあると思います。画一的な「ゴールデンルール」ではなく、真にあなたたちに適した「ゴールデンルール」を!と。

以下、あれやこれやと。

交通ルールの喩え。交通ルールを狭義のルールとすれば、交通ルールをどの程度守るかがメタルールです。動画サイトで散見する限り、日本とロシアなどではメタルールが異なるようです。世界中どこでも「交通ルールを守りさえすれば安全」というわけではないようで。

世界観について。「世界観」は、「メタルール」に含まれます。「世界観」を「世界設定」と混同することもありますが、「世界設定」の方は「狭義のルール」に当たります。「遊び方」と「世界観」に合わせて、ルールと世界設定とがデザインされるのです。

宣伝について。金色老子さんはリプレイを「宣伝」と指摘されたようですが、それはPublicityではなくPropagandaの意でしょう。リプレイには必ず、そのゲームプレイで参加者が選んだメタルールが含まれます。リプレイを書くことは、自分のメタルールを発信することです。金色老子さんがメタルールの独自デザインを薦める立場にあるならば、自分でリプレイを書くことは道義上できませんわな。

独裁について。上意下達式のメタルール選択がほとんどであれば、端からは、そのメタルール提供者による独裁体制、と見えなくもないかも。実際には「みんながそうしてるから」と、考え無しに選んでいるだけでしょうが。国民全員が合意して一人の英雄に国の命運を任せたのだとしても、外国からは独裁と見られるのではなかろうか。

以上、覚書として。あるいは、参考までに。

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