ニコニコ動画にて、『クトゥルフ神話TRPG』のリプレイ動画が多数公開されています。流石に全部は追えませんが、「本当にあったSAN値が下がるクトゥルフTRPG」は楽しく鑑賞しております。
その「その3」では「跳躍」(Jump)技能が派手に使われていて面白かったのですが、地味な解釈もある、ということを紹介しておきます。
まず、『クトゥルフ神話TRPG』ルールブック(2004年9月22日初版)p.81から引用。太字強調部分は鏡による。
- 跳躍 (25%)
- この技能に成功することにより、探索者は垂直方向に飛び上がり、自分の身長分高い所にあるものをつかむことができ、また身長分の距離を垂直方向に安全に飛び降りることができる。(後略)
次いで、『Call of Cthulhu』第6版ルールブック(2004年3月刊)p.70から原文も引用。太字強調部分は鏡による。
- Jump (25%)
- With a success, the investigator can leap up vertically and grab to his or her own height, safely leap down vertically to his or her own height, (後略)
派手に解釈するなら、垂直方向に身長の2倍の高さ(身長+手の長さ+跳躍分)まで跳び上がり、そこに掴まることができる、となります。身長174cmの私であれば、25%の確率で348cmの高さまで手を届かせることができるわけです。バスケット(バスケットボールのゴール)の高さが3m強なので、身長150cmあれば「誰でもダンクシュート」技能とも言うべきか。
ちなみに、「Vertical Leap」は助走付きの垂直跳びを指し、助走無しは「Vertical Jump」と呼ばれる、とも。
さて、地味な解釈では、自分の身長ほどの高さを飛び越える、あるいはその上に飛びつくことができる、となります。私(身長174cm)なら、25%の確率で高さ174cmくらいの塀などを越えることができるわけです。こちらは単なる「塀乗り越え」技能。塀なら「登攀」技能(40%)でも越えられるでしょうが、「跳躍」なら一瞬で越えられるとか、塀ではなくトゲ付鉄条網なら「跳躍」でないとダメージを食らうとか。
派手か地味か、どちらの解釈を採用するかは、参加者同士で話し合って決めれば良いでしょう。誰かが「跳躍」を試みた時にでも。私ゃどちらも好きなんですけど、地味な方を好むプレイヤーもいるでしょうから。いずれにせよ、NPCや神話生物も同じ解釈で行動しますから、派手に襲われては困るかも知れません。
ついでに折衷案というか、ハウスルールとして。助走距離が十分あって、壁面や窓枠などを蹴りながら登れる状況で、「跳躍」技能の半分で判定に成功すれば、身長の2倍の高さのものを掴むことができる、というのもありでしょう。技能値の半分で距離2倍、というのは射程距離ルールの応用。「安心と信頼の99%」のために。
以上、野暮な突っ込みであることは、重々承知の上にて。
そもそも、その卓の参加者同士で合意すれば、ルールシステムなど自由に解釈して良いのであって、それが多様なる「遊び方」となるのです。ルールブックだけなら、自然とそうなります。しかしながらリプレイはしばしば、他人の「遊び方」を「正しい遊び方」として読者に押し付けてしまいます。リプレイを書く側に罪があるのではなく、読者側の問題なのですけどね。
なので、あえて述べた次第。