Trail of Cthulhu(ToC)に特徴的なルール運用の解説。5回目は、特殊な情報収集能力である「クトゥルフ神話」の使い方について。
宇宙の恐るべき真理を知ってしまったプレイヤー用キャラクター「探索者」は、「クトゥルフ神話」能力を獲得します。この能力を使用することで、探索者は断片的な情報を直感的に分析し、事件の背後にある忌まわしい真実を導き出すことができます。要は、自力で推理できなかった場合のお助け能力なのですが、この能力に頼る度に、代償として精神安定度や正気度を失います。
クトゥルフ神話は、(原則として)探索者作成時には獲得できず、ゲームプレイの中で魔道書を熟読することで得られます。クトゥルフ神話能力を1以上得ると、正気度の上限が「10-クトゥルフ神話」となります。
また他の情報収集能力と異なり、クトゥルフ神話をゲームマスターがプレイヤーに使わせることはできません。あくまでもプレイヤー自身の決断によってのみ、「使用」あるいは「消費」されるのです。
どれだけの精神安定度や正気度が減少するかは、それによって明らかになる真実の内容によって決まります。指針を幾つか引用すると、次の通りです。
- 事件の真相の一部がクトゥルフ神話と関わっている(だけ)なら、精神安定度を2失い、正気度は失わない。
- 事件の真相にあるクトゥルフ神話の脅威が人々を危機に陥れるなら、精神安定度を3、正気度を1失う。
- 事件の真相にあるクトゥルフ神話の脅威が世界を滅亡させるなら、精神安定度を8、正気度を3失う。
注目すべき点は、プレイヤーが自力で真相を推理できれば、クトゥルフ神話は使わなくて良い、ということです。あくまでも最後の手段であって、ゲームマスターは推理できるだけの情報をプレイヤーに与え、プレイヤーもまずは自分で推理してみましょう。どうしても真相が分からなかった時、はじめてクトゥルフ神話に頼れば良いのです。
できれば開けずに済ませたかった扉を、恐る恐る自分で開ける。その瞬間を味わうのも、ホラーRPGならではの醍醐味です。