いわゆる「行為判定」のルールシステムとは、狭義にとれば、行為の成否を判断する処理手順を指します。サイコロを振って技能値以下を出す、能力値にサイコロの出目を足して難易度以上を出す、技能で指定されたスートと同じカードを出す、などなど。
しかしながら、これを広い意味で考えるなら、次の三つの段階にまで広げることができます。キャラクターがある状況に置かれた時、そのプレイヤーは...。
- 成功確率などから、取りうる行為の選択肢を決める。
- 1で決めた選択肢の中から、実行する行為を選ぶ。
- 2で選んだ行為が、成功するか否かを処理する。(狭義の行為判定)
判定にサイコロを用いるルールシステムの多くは、上記1の段階をキャラクターのデータ表現において処理しています。成功確率が著しく低い行為は、選択肢とはなりません。キャラクターの生死を決するなど、特に重大な局面においては、成功確率の最も高い行為のみが候補となりえます。
プレイングカード(トランプ)を用いるルールシステムで、特に手札からカードを出す場合には、「手札にどのようなカードがあるか」が上記1の段階となります。その代表例として、トーキョーNOVAやキャッスル・ファルケンシュタイン(CF)が挙げられます。
ちなみに、この二作品は3の段階も保持しているため、ただサイコロを振る場合よりも、処理手順に手間がかかるようになっています。そこまでは共通しても、その内実は、かなり性格が違いますが。私の個人的印象では、NOVAはストレスが溜まり易く、CFはジレンマを招き易い。
さて、拙作A.V.O.N.は、上記3の段階を省いたルールシステムになっています。手札で成功する行為しかできないため、端から「失敗」というものが存在しないのです。
もうひとつの拙作A.D.A.M.(現在未公開)では、サイコロを使うので3の段階は残るのですが、1と、それ以上に2の段階の重要性を増しています。こちらの詳細については、公開をお待ちいただきます。
なお実際のゲームプレイでは、ゲームマスターから「○○の判定をせよ」などと、行為をいきなり指定される場合もあります。それはまた別の話。