今回は、CoCにおける受け流し(ルールブックp.66)についてまとめます。マーシャルアーツ技能(同p.84)との関係や、クトゥルフダークエイジ(CDA)で追加される盾による受け流し(CDAルールブックp.42)なども加えます。
まず、受け流しの基本は、「戦闘に参加している1キャラクターは、1戦闘ラウンドに1回の受け流しを行うことができる」です。
受け流しを行う手順は、次の通り。
- 戦闘ラウンドのはじめに、受け流しを行うと宣言し、その相手を指定する。(マーシャルアーツ技能を持たない者のみ)
- 相手の攻撃が成功した後、受け流しの判定を行う。判定は、受け流しに用いる武器の技能(攻撃と同値)を用いる。
- 受け流しが成功したなら、用いた技能に応じてダメージ処理を行う。失敗したなら、全ダメージをキャラクターが受ける。
まず、受け流しの宣言と相手の指定について。
- マーシャルアーツ技能を持たない者が受け流しを行いたい場合、戦闘ラウンドのはじめに「受け流しを行う」と宣言し、相手を指定しておかなければならない。あらかじめ心の準備をしておかなければ、受け流しはできない、ということ。重箱の隅を突くと、どの武器で受け流すかまで指定しろ、とは書いてない。
- マーシャルアーツ技能を持つ者は、宣言しておく必要は無く、どの攻撃に対しても受け流しを(1回のみ)行うことができる。私の経験から言うと、武術では防御の反復練習を徹底的に行うので、油断していても反射的に受け流してしまうものである。秀逸なデザイン。
- ちなみに、CoCのキャラクターは全員、マーシャルアーツ技能を1%持っている。CDAのキャラクターは全員、マーシャルアーツ技能を持っていない。
次に、受け流しの判定について、技能ごとに整理します。
- こぶしやキックでの受け流しは、こぶしやキックに対して有効。近接戦武器には、成功しても通常のダメージを受ける。
- 組みつきでの受け流しは、2回成功すれば、あらゆる近接戦武器に対して有効。
- 刀剣やメイスでの受け流しは、あらゆる近接戦武器に対して有効。同じラウンドにその刀剣で攻撃もできる。
- 棍棒やナイフ、槍での受け流しは、あらゆる近接戦武器に対して有効。ただし同じラウンドにその武器では攻撃できない。
- 盾での受け流しは、あらゆる近接戦武器に対して有効。また、射撃戦武器を一定確率でブロックすることもできる。
- ライフルやショットガンでの受け流しは、あらゆる近接戦武器に対して有効。ただし同じラウンドには射撃できない。
- 弓での受け流しは、あらゆる近接戦武器に対して有効。ただし同じラウンドには射撃できない。
- スリングでの受け流しは、不可能。
最後に、受け流しに成功した場合のダメージ処理について、用いた武器ごとに。
- こぶしやキックは、(人間の)こぶしやキックのダメージをすべて打ち消す。近接戦武器のダメージはキャラクターがすべて受ける。
- 組みつきは、あらゆる近接戦武器のダメージをすべて打ち消す。
- 刀剣やメイスは、その耐久力までのダメージを打ち消す。耐久力を超えるダメージを一撃で受けたなら、武器は破壊される。
- 棍棒やナイフ、弓は、ダメージ分の耐久力が減る。耐久力が0になると破壊され、超過分はキャラクターが受ける。
- 盾は、その耐久力までのダメージを打ち消す。耐久力を超えるダメージを一撃で受けたなら、超過分の耐久力が減り、また同値のダメージをキャラクターも受ける。耐久力が0になると盾は破壊される。
- ライフルやショットガンは、その耐久力までのダメージを打ち消す。耐久力を超えるダメージを一撃で受けたなら、射撃不能となるが、受け流しは同じ耐久力で継続できる。
例えば、巨漢に斧で斬りつけられたダメージ11ポイントを受け流した場合。
- 騎兵用サーベル(耐久力20)では、サーベルもキャラクターも無傷。
- 火かき棒(耐久力20)では、火かき棒の耐久力が9に減るが、キャラクターは無傷。
- 12ゲージショットガン(耐久力10)では、キャラクターが1ダメージ受ける。ショットガンは射撃不能になるが、次のラウンドも耐久力10で受け流し可能。
また、黒い仔山羊に蹴飛ばされたダメージ22ポイントを受け流した場合。
- 騎兵用サーベル(耐久力20)では、サーベルは破壊され、キャラクターが2ダメージ受ける。
- 火かき棒(耐久力20)では、火かき棒は破壊され、キャラクターが2ダメージ受ける。
- 12ゲージショットガン(耐久力10)では、キャラクターが12ダメージ受け、ショットガンは射撃不能となるが、次のラウンドも耐久力10で受け流し可能。
その他、つらつらと。
- こぶしやキックで近接戦武器を受け流すとは、他のキャラクターへの攻撃に対してであれば、その身代わりとなることです。
- 拳銃での受け流しについては、記述がありません。映画などではやっている例もありますが、現実的には無理があるような。
- 武器によってダメージ処理が異なるのは、その材質を考慮したものと思われます。銃身は、刀剣よりも更に頑丈な鋼鉄製なので、曲がったとしても折れはしない、というわけです。
- ちなみに、今夏の英語正規版出版が決定した古代ローマ帝国物「Cthulhu Invictus」では、盾での受け流しは1ラウンドに2回可能、となっています。ただし、2回受け流しをすると、回避を併用できなくなります。
次回は、回避について。