「キャラクターの中のメタ」の2番目は、クトゥルフ神話TRPGの「探索者」について。基本は先の「冒険者」と同じで、その応用として紹介します。
「探索者」の原語「Investigator」は、「Investigateする者」「謎について調べる者」「調査好き」といった意味です。このようなPCでは、「探索する者」が最上位となって他を左右する、次のような「階層構造」となります。
- 探索する者(Investigator) : PCは、究極的には好奇心のために、怪事件などを調べずにはいられない。
- その能力 : 職業や技能は、PCが探索するのに有用なものとして選択され、探索するために行使される。
- その設定 : 人格や背景は、PCが探索することやそのための能力に符合するよう設定され、描写される。
PCは「探索する者」なのですから、プレイヤーはPCに探索させて遊びます。とにかく、何らかの事件や人物について調べさせていけば良いのです。怪事件や怪現象が起これば調べる。怪しくない事件でも情報が入れば突いてみる。通りすがりでも誰かが現れたら、近寄って話しかけてみましょう。クトゥルフ神話勢力の手先かも知れませんから!
PCの性格や社会的な立場のせいで、PCが探索しない、ということはありません。「PCが探索する」ことは、「メタ」なところで決まっているのです。PCは「探索するための駒」なのですから、「探索しない」という選択肢は端から用意されていないのです。
「探索するための駒」としてのPCを活かすために、NPCは「探索させるための駒」となります。ある者は味方、ある者は敵、他は中立の人物としてPCを、真実を調べるべき事件、真理を明らかにすべき謎へと誘います。どのように誘うかに従って、その能力や設定が決められます。
「探索の舞台」としてのシナリオには、怪しい事件や怪しい現象、あるいは怪しい人物さえ出しておけば、それへの導入に気を使う必要はありません。仮に怪しくなくても、どうせ裏には調べるべきことがあるのですから、PCは飛びつけそうなところに飛びつくでしょう。
キャラクターの都合以前のこととして、プレイヤーとゲームマスターとが協力し、PCに探索させて遊ぶ。これが、「探索者」による「メタゲーム」です。