「キャラクターの中のメタ」の1番目は、ファンタジーRPGなどでよく用いられる「冒険者」。特に「メタ」な意味でのそれについて。
「冒険者」の原語は「Adventurer」で、直訳的には「Adventureする者」「危険を冒す者」「冒険好き」といった意味です。この呼称には二つの用法があり、ここではそのひとつ、プレイヤーがPCにさせることとしての「冒険する者」について論じます。もうひとつの、舞台世界において職業もしくは社会身分として認識されるような「冒険者」については、また別途扱います。
さて、このようなPCの内には、次のような「階層構造」が成立します。下記1「冒険する者」が最も上位にあり、より下位にある2「その能力」や3「その設定」を俯瞰/解釈/評価し、評価に基づいてそれらに干渉していきます。
- 冒険する者(Adventurer) : PCは、究極的にはスリルのために、危険な行為に挑まずにはいられない。
- その能力 : クラスや技能は、PCが冒険するのに有用なものとして選択され、冒険するために行使される。
- その設定 : 人格や背景は、PCが冒険することやそのための能力に符合するよう設定され、描写される。
PCは「冒険する者」なのですから、プレイヤーはPCに冒険させて遊びます。とにかく危険そうな行為に挑ませていけば良いのです。怪物や敵がいれば戦う。廃墟や洞窟があれば入る。誰かが困っていたら、親身に接してみましょう。命がけの難題に巻き込んでもらえるかも知れませんから!
PCの性格や過去の経歴が、危険な行為を躊躇させることはありません。「PCが冒険する」ことは「メタ」なところで決まっているのであって、PC自身はそのことに干渉できないのです。PCが望むと望まざると、PCは「冒険するための駒」なのです。
「冒険するための駒」としてのPCに相応しいNPCは、「冒険させるための駒」として機能します。ある者は味方、ある者は敵、他は中立の人物として、PCを危険な行為へと誘います。どのように誘うかに従って、能力や設定が決められます。
「冒険の舞台」としてのシナリオを用意するのは、難しいことではありません。とにかく危険なネタ(敵や難題)さえ用意してあれば、PCは飛びつくのですから。悩むべきは、いかにしてその冒険をPCに指し示すか、ということくらいです。
キャラクターの都合より上位において、プレイヤーとゲームマスターとが協力し、PCに冒険させて遊ぶ。これが、「冒険者」による「メタゲーム」です。