メタゲームの強弱非反

キャラクターの行動を決める際、「キャラクターの知識や信条、都合など」と「プレイヤーの知識や信条、都合など」との、どちらを優先するのか。あるいは、端からどちらかしか無いのか。その違いによって、四種類の遊び方を想定することができます。

「メタゲーム」という言葉にこだわって、これらを「強いメタゲーム」「弱いメタゲーム」「非メタゲーム」「反メタゲーム」の四つに分類し、各々について考えてみます。

強いメタゲーム
プレイヤーのみ。
「プレイヤーの知識や信条、都合など」のみによって、キャラクターの行動を決める。「キャラクターの知識や信条、都合など」は一切考慮しない。
キャラクターはプレイヤーが遊ぶための駒でしかないので、行動方針が首尾一貫していなかったり、矛盾していたとしても構わない。
弱いメタゲーム
プレイヤー優先。
「プレイヤーの知識や信条、都合など」に反しないように、「キャラクターの知識や信条、都合など」を設定する。
両者が相容れない場合は、「プレイヤーの知識や信条、都合など」を優先する。設定上は矛盾していても、キャラクターは気紛れにそういう行動を取った、などとする。
非メタゲーム
キャラクター優先。
「キャラクターの知識や信条、都合など」に反しない場合のみ、「プレイヤーの知識や信条、都合など」を活かしても良い。
両者が相容れない場合は、「キャラクターの知識や信条、都合など」を優先する。それで不利や支障が生じても止むを得ないこととして、皆で別の解決法などを考える。
反メタゲーム
キャラクターのみ。
「キャラクターの知識や信条、都合など」のみによって、キャラクターの行動を決める。「プレイヤーの知識や信条、都合など」は一切出さないように努める。
プレイヤーはキャラクターの代弁者であるから、そのキャラクターが実在の人物であるかのように設定し、また表現する。

上記四種の遊び方について、例を示しましょう。例えば、プレイヤーはゲームマスターが用意したシナリオを遊びたいのに、キャラクターにはそのシナリオに絡むための動機が無い場合。平凡なパン屋や農民は、呪われた黒魔術師に戦いを挑もうとするでしょうか?一介の会社員や大学生は、人類以前に端を発する怪事件を解き明かそうとするでしょうか?

  • 強いメタゲーム」では、絡むための動機など必要ありません。パン屋だろうが会社員だろうが、駒は駒、動機が無くとも必ず絡みます。
  • 弱いメタゲーム」では、絡むための動機を無理にでもでっちあげます。パン屋や会社員だって、命を賭けたくなる時くらいありますよ。
  • 非メタゲーム」では、絡むための動機が無ければ、絡みません。パン屋や会社員に相応しい動機が見つかるまで待ちましょう。
  • 反メタゲーム」では、絡むための動機を探す必要はありません。パン屋や会社員を主人公としたシナリオが用意されるべきなのですから。

これら四種の遊び方は、その参加者がそれに合意していれば、どれであっても存分に楽しめるでしょう。しかし、互いの考えが食い違っていれば、誰もが不満を抱くに違いありません。「あいつは、RPGというものが分かっていない!」などと。

以下、余談。

「メタ」に対する語として「ベタ」なるものがあるようで、後二者を「弱いベタゲーム」「強いベタゲーム」と名付けようかとも思ったのですが。...結局やめときました、かえって混乱しそうなので。

上記「弱いメタゲーム」は馬場秀和氏が説いた「弱いキャラクタープレイ」に、「非メタゲーム」と「反メタゲーム」とは同じく「強いキャラクタープレイ」に相当する、と私は考えます。それら馬場理論の中に見出される「メタゲーム」については、後日また触れる予定です。

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