「初心者専用ルールシステム」を考えるに先立ち、まず「ルールシステム」についての私の考察を示します。
プレイヤーとゲームマスターは、ゲーム世界内での様々な事象を、キャラクターを介して体験します。その際、それら諸事象について表現するために用いられるのが「データ」です。そして「ルールシステム」とは、それら「データ」の扱い方を規定するものであり、「データ表現ルール」「データ作成ルール」「データ運用ルール」の三つから成り立ちます。
- データ表現ルール
- どのような「データ」をどのように表現するか、という決まりごと。
- 即ち、「データ」そのものとも言える。能力値、技能、キャラクターレベル、ヒットポイント、ダメージなど。
- 数値で表現するなら、取りうる数の範囲や、数ごとの意味を決めておく。距離や重量などをそのまま用いる場合もある。
- データ作成ルール
- 各「データ」をどのように決定するか、という決まりごと。
- キャラクター作成ルールや成長ルールが含まれ、任意かランダムかポイント割り振りか、などを決めておく。
- 装備品や動物のデータ作成ルールなどは、ルールブック上には掲載されない場合もある。
- データ運用ルール
- キャラクターの行動やゲーム世界での現象に応じて、各「データ」をどのように用いて、どのような結果を導くか、という決まりごと。
- 行為判定やダメージ判定など、「判定」全般のこと。
- 任意かランダムか事前に決まっているか、などを決めておくこと。
さて、「データ」(データ表現ルール)とは、キャラクターやゲーム内の現象に「個性」を与えるためのものです。「データ作成ルール」が「個性」に整合性と正当性を与え、「データ運用ルール」によって「個性」はゲームプレイ上で活かされます。
これら、「データ」とそれに関わるルールは、多ければ難解とは限りませんが、少ない方が憶えやすいのも確かです。かといって少な過ぎれば、それらを使いこなして得られる面白さも損なわれます。ベテランでも十分楽しめる「初心者向け」をデザインするならば、その必要最低限を見極めなくてはなりません。
対して「初心者専用ルールシステム」では、ベテランはもとより、他のゲーム経験からルールの扱いに慣れているような初心者のことも無視できます。「データ」も上記三種のルールも、とにかく少なければ少ないほどよい、むしろ無い方が良い、と考えてデザインできるのです。
以上のような考察に基づき、次回は「初心者専用ルールシステム」のデザイン例を幾つか示します。極端なものばかりになりますが、そうでないものは後日として。