「メタゲーム」の前に、まず「メタ」という語について考えてみます。
この語は、例えば「自由」のように卓上RPGについて独自に用いられた語ではなく、他の学問から借用したもののようです。幾つか資料に当たってみましたので、私なりに理解したところをまとめてみましょう。以下、文中の「○○」は、任意の語が入る、という意味。
「メタ」(meta-)とは、「after, beyond, with, change」の意の接頭辞です。これを冠した「メタ○○」とは、対象となる「○○」に対して超越的な視点を持つ、より高次の概念とされます。「メタ言語」やら「メタ議論」やら「メタ物語」やら色々ありますが、「メタ○○」と「○○」との関係は、概ね次の通りです。
- 「メタ○○」は「○○」について、俯瞰し、解釈し、評価することができる。
- 「メタ○○」は、「○○」への解釈や評価に基づいて、「○○」に影響を及ぼすことができる。
- 「○○」は「メタ○○」に、原則として干渉することはできない。しばしば認識することすらできない。
「メタ○○」と「○○」とは、上記のような関係で結ばれた「階層構造」を成す、とすれば把握し易いように思います。
「超越的」「高次」とは、二次元に対する三次元、三次元に対する四次元、のような関係です。映画内の登場人物に対する、それを演じる俳優、またはその映画の観客、も同じですが、この場合は「超越的」「高次」という感じではなくなりますね。
「メタ」は「神の視点」とも言えます。法学や社会学などの学問はキリスト教を発想の大前提としていますから、人類に対する全知全能神、が本来の意味なのかも知れません。例えば、次のような「階層構造」。
- 全知全能なる神 (絶対の真理)
- 形而上学 (暫定的な、定義と理論)
- 形而下の諸事象 (諸々の物理的現象)
「○○」が「メタ○○」に干渉することは、例外的にならありえます。ギャグマンガやモンティパイソンに見られるような、作中の登場人物が、読者/視聴者に語りかける、というようなヤツ。一瞬の驚きの後、ナンセンスな笑いを誘うのが目的というか、関の山。
次回は、このような理解に基づき、「ゲーム」に対する「メタゲーム」について考えてみます。もちろん、卓上RPGにおける「メタゲーム」について。