初心者ならともかく、ベテランでは付き合っていられない、そんな「初心者専用」のゲームシステムをデザインするとして。だからといって、システムのすべてをそうしなければならないわけではありません。ゲームシステムのどこを「初心者専用」にするのか、を考えてみましょう。
過去にもしばしば語ってきたように、私はゲームシステムを次の三要素に分解して考えるようにしています。今回も、これに則って考えます。
- 「ルールシステム」...キャラクター作成や行為判定など、キャラクターを扱うためのルール群。
- 「世界設定」...舞台世界の地理や歴史、慣習や法律など、キャラクターを扱うための設定群。
- 「遊び方」(遊戯法)...「ルールシステム」と「世界設定」をどう使い、どう楽しむか、という方法論。
なお上記分類では、シーン制やハンドアウトなどは「ルールシステム」ではなく、プレイヤーが期待通りに遊べるようにするための工夫として「遊び方」の一部と見なします。
これら三要素にそのまま冠せば、「初心者専用ルールシステム」「初心者専用世界設定」「初心者専用遊戯法」となります。初心者ではあっても素養のある部分では普通のゲームシステムを用い、障害となる部分のみ「初心者専用」を選べば良いわけです。例えば...。
- ボードゲームやカードゲームなどに親しんでおり、ルールの理解と処理に慣れている初心者なら、普通の「ルールシステム」と「初心者専用世界設定」とを「初心者専用遊戯法」で遊ぶ。
- 映画を観たり小説を読むのに親しんでおり、異世界設定の理解と活用に慣れている初心者なら、「初心者専用ルールシステム」と普通の「世界設定」とを「初心者専用遊戯法」で遊ぶ。
- リプレイを読むことに親しんでおり、そこに示されるようなやり取りを熟知している初心者なら、「初心者専用ルールシステム」と「初心者専用世界設定」とをリプレイと同じような「遊戯法」で遊ぶ。
素養のある者には、素養のない者の苦労が分かり難いものです。例えば、リプレイを最初から愛読できた者には、リプレイを薦められることがハードルになるなど想像もできないでしょう。賢い者なら、実は分かっていて、趣味の同じ人間を選別するのに使っているかも知れませんが。
幸か不幸か私は、あらゆる面において素養に劣っているように思われます。そこで、三要素すべての「初心者専用」について考え、可能ならば試しにデザインしてみたい、と企んでおります。まずはルールシステムから。