シナリオと各々が担当するキャラクターとが用意できたなら、いよいよゲームプレイ本編です。ここからの四つの手順では、「自由に遊ぶ」ゲームプレイの進行例を示します。
第五の手順は、ゲームプレイの始まり。仲間同士が集まって卓を囲み、挨拶を交わした後は、次のようにしてプレイを始めます。
- 舞台を確認すること。シナリオがいつどこで始まるのか、その具体像を知っておかねばなりません。月日より季節曜日、時分より昼夜朝夕、地名より都心か田舎か、などが重要です。
- 初期情報を知ること。ゲームマスターはプレイヤーに、シナリオに関わる断片的な情報を伝えます。情報の数を増やすほど、ゲームプレイは複雑なものとなるでしょう。
- 最初の行動を決めること。プレイヤーは各々、初期情報について「自分が面白いと思う」ような関わり方を決め、それを自分のPCの行動として宣言します。ここで決める関わり方は暫定的なもので、後から変更されることも少なくありません。
初期情報の示し方として、「自由に遊ぶ」ゲームプレイ向きの手法を三つ挙げておきます。
- プレイヤーに取り合えず行動させ、それに合わせて初期情報を示す手法。例えば「月曜日の昼、どこにいる?」→「会社近くの喫茶店でランチ」→「君が食後のコーヒーを楽しんでいるとその喫茶店に…」など。古典的な技法ですが、プレイヤーの発想に柔軟に合わせられるようなシナリオ構成とゲームマスターの即興能力とが要求されます。
- プレイヤーに好きな導入パターンを選ばせて、それに合わせて初期情報を示す手法。例えば「好奇心で」→「テレビで奇妙なニュースが…」とか「依頼されて」→「知人の紹介で訪問客が…」とか「巻き込まれて」→「偶々住宅地を歩いていると…」など。プレイヤーは好みの導入が選べます。初期情報をパターン別に用意できるのでゲームマスターも楽。
- プレイヤーに関わりたい「事件」「人物」「場所」などを選ばせて、それに合わせて初期情報を示す手法。各選択肢は表層的な情報のみ示されます。例えば、「中学生同士の喧嘩」「名医の連続失踪」「20代後半の気の強そうな女医」「三日間の記憶をなくした少年」「元教会の廃墟」「繁華街の路地裏」などから、ひとつ選ばせるのです。プレイヤーが最初の行動を柔軟に決めやすくなるのが利点。
このようにして示された初期情報にプレイヤーがどう関わっていくか、手順4のようなシナリオ構成であれば、次のような行動が考えられます。
A.「事件」またはその影響を知る
→そこから利益を得るべく調べにかかる
→好奇心から関係「人物」に会いに行く
→偶然に関係「場所」を訪れる …など。
B.「人物」が登場し、依頼を持ちかける
→「人物」に好意的に接して仲間となる
→「人物」と結託しないが、依頼内容については独自に調べる
→「人物」に敵対する …など。
C.「場所」の存在を知る
→何らかの理由をつけて行ってみる
→偶然通りかか(ったことにす)る
→すぐには行かないが関連情報を集める …など。
極端に「自由に遊ぶ」場合、PCには「ロール」(人格設定や背景設定)がありませんから、プレイヤーは自分が「面白い」と思うか否かだけを手掛かりにシナリオに関わっていくこととなります。PCの行動は、各プレイヤーでまったく異なっていても、他のPCの行動に便乗(あるいは介入)するものでも構いません。
最初の行動がどういう結果を生むか、またゲームマスターや他のプレイヤーがどう対応するか、などは次の手順に属します。