たとえ「ルールシステム」や「世界設定」から導き出した「テーマ」であっても、「不適合」や「不足」が生じることはありえます。また「短所を補う」のみならず「長所を伸ばす」ためにも、様々な工夫が凝らされるべきです。それらの工夫を、ここでは「手法」と呼びます。
「手法」には、書籍や映画など参考資料の事前提示、要点を絞った配布資料の作成、参加者同士でのちょっとしたアドバイス、更にはルールシステムの追加デザインなどが考えられます。
以下、「クトゥルフ神話と闘う探索者」のための「手法」を幾つか挙げてみます。
事前提示資料は、それらに触れる時間的・財政的余裕が無いと活用できませんが、高い効果が見込めます。映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」を鑑賞しておけば、1920年代アメリカの雰囲気、衣食住や行動様式などを共有することができます。小説「始末屋ジャック」シリーズは、特殊能力を持たない主人公が強大かつ超常的な勢力と闘う点で「テーマ」との類似がありますので、決断や行動の具体例を掴むことができるでしょう。
プレイ時の配布資料は、それに実際に触れることで参加者の注意をそこに向けさせることができます。「1920年代の品物・装備・サービスの価格」を全員に一枚ずつ渡しておけば、買物への積極性を喚起しうるでしょう。「負傷のスポット・ルール」などの配布は、それらの活用を期待するというメッセージになります。舞台となる町の地図を卓の中央に置き、キャラクターの現在位置を駒で表わせば、チームワークを促す効果が期待できます。手間は掛かりますが、手紙など、キャラクターが手にするのと同じ品物を作成し、プレイヤーに渡すという伝統的な手法(=ハンドアウト)が素晴らしい効果を生むことは言うまでもありません。
アドバイスは、ゲームマスターからプレイヤーへのものだけでなく、プレイヤー同士も互いに掛け合って、プレイの傾向を定めるものです。PC作成は「人種はどう分担する?」「潜入が得意なのは誰と誰?」「車は何台あるの?」などを相談しながら進め、「PC同士が落ち合う場所」や「馴染みのもぐり酒場」なども全員で話し合って決めると良いでしょう。プレイ中なら、「どういう行動が考えられるか」を提示し合い、判定前に「誰と誰が判定するか」また「失敗したらどうするか」をも頻繁に語り合うことでチームの一体感を得ることができます。プレイ後、自分のPCについて「この場面ではこうすれば良かった」「こうしても面白かった」といった反省点を挙げ、プレイヤーからゲームマスターに伝えるのも一種のアドバイスと言えます。
ルールシステムの追加デザインは、あまり大胆に行うと抵抗を感じる者もいますので、注意が必要です。キャラクター作成をより計画的に行うために、「クトゥルフ・ダークエイジ」のポイント割り振りによる能力値決定を採用するのは、無難な範囲でしょう。薬品の入手可否を「医学」か「薬学」技能で判定するという買物ルールは、咄嗟の判断を容易にすると共に、専門家の重要性をアピールし、チームプレイを推奨するものです。呪文を積極的に使ってもらうために習得確率を100%にすることは、大胆な変更のようですが、実際には何ら問題ありません。
ゲームプレイの現場では、「テーマ」と、これら「手法」(の強調したい幾つか)とだけが示されるのが実際となるでしょう。
さて、「遊戯法」の具体例提示を一通り終えましたので、今後の計画について。
近々このブログとは別に、テーマ専用のブログを新規開設します。そちらでテーマへの参加者を募り、意見交換を行い、そして実際に遊ぼう、と考えております。以前掲示板で試した時は上手く運びませんでしたが、今回はブログの機能を活用し、オンラインプレイにも挑戦したいと企んでおります。宜しければ是非ご参加ください。
こちらでの「遊戯法」記事はしばし休止し、他の話題を書こうと思っております。