「クトゥルフ神話TRPG」のルールシステム解釈2回目は、プレイヤーキャラクター(探索者;Investigator)の能力について考えてみます。私の解釈では「キャラクター作成ルール」と「成長ルール」とが主たる論点となり、先の「D100ロール」よりは大きくゲームシステム特有のものとなります。
各ルールの説明は省きまして、その「特徴」は次の通り。
1、無作為に決まる能力値は一部を除いて重要度は低く、より重要な技能値は任意に決定できる。
2、作成時は「人並の能力」であり、成長後も(原則として)「人並の能力」を超えることはない。
3、キャラクター間で、性格付けによる能力格差は大きいが、成長による格差は小さい。
キャラクターの「強さ」は「戦闘ルール」に則って、敵となりうる存在(より正確には実際に登場する敵)のデータと比較することで分かります。不意討ちなどによる状況の有利(不意討ちできる)不利(不意討ちされる)と、武器や情報などの準備の有無とにおける「強さ」を考えると次のように解釈されます。
4、不利な状況で勝てる敵は、極めて少ない。有利な状況でも勝てない敵が少なくない。
5、準備が無くても勝てる敵は、極めて少ない。準備があっても勝てない敵が少なくない。
これらに更なる解釈を加え、その「向き不向き」を探ります。
1a、成功させたい技能値は、なるべく高くしておくべきである。(行為判定の1aと同じ)
2a、問題解決は「人並の能力」に頼らざるを得ないので、様々な手段を考えておくべきである。
3a、経験を多く積むよりも、どういうキャラクターを作成するかの方が重要である。
4a、戦闘はなるべく避けるべきであり、避けられないなら有利な状況を作るべく工夫すべきである。
5a、戦闘はなるべく避けるべきであり、避けられないなら十分な準備を整えるよう努力すべきである。
1a~3aは、キャラクターのデータによる力押しではなく、様々な技能をうまく活用することを要求しています。ある技能でどのようなことができるのか、プレイヤーの発想がキャラクターの有能さに繋がりますから、プレイヤー自身の知識や経験に加え、事前の学習がゲームに活きてきます。技能の取捨選択においても行動時においても、プレイヤー同士、キャラクター同士のチームプレイが必須となります。
4aと5aからは、基本的には慎重、時には大胆な戦術が期待されるものと推測できます。1a~3aの解釈と併せ考えれば、戦闘能力を予めどう配分しておくかで生存率が決まることが分かり、キャラクター作成作業もまたスリリングな時間となります。
1a~5aにおいて、ゲームマスター側から予めそのシナリオで有益な能力値や技能を示唆することで、難易度を下げることが可能になります。ただし、プレイヤーの発想を活かした方がプレイの悦びは増しますので、どこまで、どのように示すかが悩みどころです。
また4と5については上記以外に、次のような極端な解釈も可能です。
4a、有利な状況でも勝てないのだから、戦闘で勝つことなど考えないほうが良い。
5a、十分な準備があっても勝てないのだから、戦闘で勝つことなど考えないほうが良い。
おそらくはこのような解釈から、「死ぬのを楽しむ」という「遊戯法」が発案されたものと思われます。